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西九州新幹線等に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 原口一博
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

「衆議院議員原口一博君提出西九州新幹線等に関する質問に対する答弁書」(令和五年十一月二十八日受領答弁第四五号)の内容を踏まえ、改めて政府の認識等を確認する必要があるため、以下質問する。

質問1

「西九州新幹線等に関する質問主意書」(令和五年十一月十五日提出質問第四五号)(以下「前回の質問」という。)の一において、「現在、武雄温泉駅において乗り換えが必要である状況を招いた原因は、導入が予定されていたフリーゲージトレインの開発が頓挫してしまったことにあると考えるが、開発を推進していた政府」の責任についてどのように考えるか質したが、明確な答弁はなかった。

1 フリーゲージトレインの開発が頓挫してしまった結果、現在、西九州新幹線は、武雄温泉駅での乗り換えを余儀なくされている。政府がフリーゲージトレインの開発を推進していた立場であったことを踏まえると、乗り換えが必須な現状が生じてしまった責任の一端は政府にあると考えるが、政府は西九州新幹線の現状についての責任をどのように考えているか。

2 令和四年十月二十八日の衆議院国土交通委員会において、九州新幹線が現状では一本につながっていない状況を生じさせたことに対する責任者としての認識を問う内容の末次精一議員の質問に対し、斉藤国土交通大臣は、「ある意味で見通しの甘さ」があり「それに対しての責任は十分感じて」いると答弁している。「見通しの甘さ」とは具体的にどのようなもので、「それに対しての責任」とは具体的にどのような責任があると感じた上での上記答弁であったのか、明らかにされたい。

回答(質問1 の1について)

 国土交通省としては、平成三十年七月十九日に与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会(以下「検討委員会」という。)が取りまとめた「九州新幹線(西九州ルート)の整備のあり方に係る中間とりまとめ」(以下「中間とりまとめ」という。)において、「フリーゲージトレインについては、・・・西九州ルートへの導入は断念せざるを得ない」と示されたこと等を受け、九州新幹線(新鳥栖・武雄温泉間)の必要性や重要性について佐賀県等の関係者の理解が得られるよう、その整備の在り方について、同県と議論を積み重ねているところであり、当該議論の帰趨について、予断をもってお答えすることができない中で、お尋ねの「責任」について明らかにすることは適当ではないと考えている。

回答(質問1 の2について)

 前段のお尋ねについては、御指摘の「答弁」は、中間とりまとめにおいて、「新大阪まで直通するための方策のうち、フリーゲージトレインについては、最高速度が二百七十キロメートル毎時にとどまり、高速化の進む山陽新幹線への乗り入れが困難であることから、新大阪までの直通を前提とする西九州ルートへの導入は断念せざるを得ない」と示されたことについて述べたものである。

 後段のお尋ねについては、一の1についてで述べたとおりである。

質問2

前回の質問の二で、「フリーゲージトレインについて何らの責任を有していない自治体に、理由がない財政負担を押し付けること」は筋違いではないか、との考えに対する見解について質したが、明確な答弁はなかった。

1 フリーゲージトレインの開発が頓挫し、武雄温泉駅での乗り換えを余儀なくされている現状を招いたことに対し、佐賀県は何かしらの負担を引き受ける必要があると政府は考えているか。必要と考えるのであれば、その理由は何か明らかにされたい。

2 佐賀県はスーパー特急方式、その後のフリーゲージトレインの導入について同意したのであり、佐賀駅を経由するフル規格整備については、これまで望んだことはない。

 フル規格について消極的である佐賀県に、莫大な整備費負担を伴うフル規格での整備の同意を得るためには、これまでの経緯も踏まえた同県への負担軽減が必要となると考えるが、政府の認識を伺いたい。

3 平成三十一年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、松平浩一議員及び西岡秀子議員の質問に対し、石井国土交通大臣が、九州新幹線の検討に際しては、佐賀県の負担を軽減するために最大限努力する旨の答弁をしている。佐賀県の負担軽減に向け、具体的にどのような努力をしたのか、明らかにされたい。

4 新鳥栖〜武雄温泉間がフル規格で整備されることを仮定した場合、新幹線全通による効果や便益について、その享受の度合いは、佐賀県より長崎県の方が圧倒的に大きいと考えられる。一方で、現行法の負担スキームの下では、フル規格の整備では佐賀県は長崎県より多くの整備費用を負担しなければならなくなると言われている。

 佐賀県は、このような新幹線の便益と費用負担が釣り合っていないことを問題としているが、現行の負担スキームを見直す必要性や、状況に応じてスキームを柔軟に運用していく必要性について政府の考えを伺いたい。

回答(質問2 の1について)

 御指摘の「現状を招いたことに対し、佐賀県は何かしらの負担を引き受ける必要がある」の意味するところが必ずしも明らかではないが、全国新幹線鉄道整備法(昭和四十五年法律第七十一号。以下「法」という。)第十三条第一項において独立行政法人鉄道建設・運輸施設整備支援機構(以下「機構」という。)が行う新幹線鉄道の建設に関する工事に要する費用は、国及び当該新幹線鉄道の存する都道府県が負担することとされている。

回答(質問2 の2及び3について)

 御指摘の「答弁」については、平成三十一年二月二十七日の衆議院予算委員会第八分科会において、石井国土交通大臣(当時)が、検討委員会における議論について、「九州新幹線西九州ルートの整備のあり方につきましては、昨年の七月、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチーム九州新幹線(西九州ルート)検討委員会において中間取りまとめが行われまして、八月の与党プロジェクトチームにおいても、その内容が了承されたところであります。(中略)今後、この中間取りまとめを踏まえ、検討委員会において、引き続き関係者の意向を十分に踏まえつつ、西九州ルートの整備等のあり方について検討が進められるものと承知をしております。また、検討に際しては、整備に係る費用を始めといたしまして、委員御指摘の佐賀県の負担を軽減するために最大限努力する考えであると承知をしております。国土交通省といたしましては、こうした状況を踏まえまして、与党における検討作業に適切に対応してまいりたいと考えております」と答弁しているとおりであり、与党における検討状況について述べたものである。その上で、お尋ねの「同県への負担軽減」及び「佐賀県の負担軽減」については、二の1についてで述べたとおりである。

 なお、国土交通省としては、九州新幹線(新鳥栖・武雄温泉間)の必要性や重要性について佐賀県等の関係者の理解が得られるよう、様々な意見も踏まえながら、その整備の在り方について、引き続き、同県と議論を積み重ねてまいりたい。

回答(質問2 の4について)

 お尋ねについては、二の1についてで述べたとおり、法第十三条第一項において、新幹線鉄道の存する都道府県は、機構が行う当該新幹線鉄道の建設に関する工事に要する費用を負担することとされており、国土交通省としては、同項に規定する建設費用の負担等について、現時点において、見直しは考えていないが、いずれにせよ、九州新幹線(新鳥栖・武雄温泉間)の必要性や重要性について佐賀県等の関係者の理解が得られるよう、様々な意見も踏まえながら、その整備の在り方について、引き続き、同県と議論を積み重ねてまいりたい。

質問3

前回の質問の四及び五において、西九州新幹線のルートを考えるに当たっては、佐賀県だけではなく九州全体の発展という観点が必要である旨の言及に対し、政府は「様々な意見を踏まえ」議論を積み重ねる、あるいは「観光振興」、「駅周辺不動産開発」、「地域間流動」等幅広い観点から検証を行った等、答弁している。

しかし、前回の質問の意図するところは、もっと大きな観点、例えば、経済発展が著しいアジア諸国の影響をいかに取り込み、その上で、佐賀県だけにとどまらない九州全域の発展について、九州新幹線があることでどのような将来像が描けるのか、と言ったことを質すものであり、新幹線により観光がどのように振興するのか等の個別的な利便性向上の事柄を問うものではない。

九州新幹線があることで、今までとは違うどのような九州全体の発展の将来像が描けるか、国土交通分野に限定されない広い視野での見解を伺いたい。

また、そのような将来像の下で、九州全体の発展に最も資するルートはどれかを考えれば、現在様々な提案がなされている九州新幹線のルートについては、自ずと決まるものと考えるが、政府の見解を伺いたい。

回答(質問3 について)

 御指摘の「新幹線により観光がどのように振興するのか等の個別的な利便性向上の事柄」及び「国土交通分野に限定されない広い視野」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国土交通省としては、九州新幹線(新鳥栖・武雄温泉間)について、御指摘の「西九州新幹線のルート」も含めたその整備の在り方について、様々な観点から、佐賀県等の関係者と議論しているところであり、引き続き、こうした議論を積み重ねてまいりたい。