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日本放送協会のインターネット活用業務に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 原口一博
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

内閣衆質二一二第二七号「衆議院議員原口一博君提出日本放送協会のインターネット活用業務に関する質問に対する答弁書」を令和五年十一月二十日に受領したが、事実誤認もしくは答弁内容に不十分な部分があるので、質問の意図をより明らかにした上で再び質問する。

質問1

政府の答弁書では、「お尋ねの『日本放送協会がインターネット活用業務をも必須業務とすること』については、現在検討中であることから、現段階でお答えすることは困難である。」としているが、有識者により構成された総務大臣の検討会が公表した「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第二次)」(以下「取りまとめ」という。)では、少なくとも地上波テレビ放送の放送番組についての同時・見逃し配信を必須業務とすべきであり、総務省においては今後の制度整備や制度の運用に反映すべきとの結論を、答弁書が送付される前の令和五年十月十八日に示している。なお、現在は更に事態が進んでおり、取りまとめを踏まえ、政府は、日本放送協会のインターネット活用業務を任意業務から必須業務とすること等を内容とする「放送法の一部を改正する法律案」を今国会に提出予定であると説明している。

そもそも、日本放送協会が昭和二十五年の放送法制定当時の規定に基づき、公共の福祉のために、あまねく日本全国において受信できるように放送を行うことを目的として設立された公共放送であることに鑑みればインターネットに進出すべきではないと考えるが、インターネット活用業務を必須業務化すべきとした取りまとめに対する政府の見解について回答されたい。

回答(質問1 について)

 御指摘の「デジタル時代における放送の将来像と制度の在り方に関する取りまとめ(第二次)」においては、「視聴者の多くが、インターネットを主な情報入手手段として利用しつつあることを踏まえると、インターネットを通じて放送番組を視聴者に提供する業務を、その実施の有無がNHKの判断に完全に委ねられている「任意業務」ではなく、その継続的・安定的な実施が義務付けられる「必須業務」として位置付けることにより、インターネットを通じた場合であっても、視聴者が継続的・安定的に放送番組を視聴できる制度に変更していくべきである」とされていると承知している。政府としても同様に考えており、このため、日本放送協会が電気通信回線を通じて放送番組等を一般の利用に供する業務を同協会の必須業務とすること等を内容とする「放送法の一部を改正する法律案」を今国会に提出することを目指し、必要な対応を進めてまいりたい。

質問2

取りまとめに基づき日本放送協会のインターネット活用業務の必須業務化が実施されても受信料収入の増加はあまり見込めない一方、業務拡大による経費の増加が見込まれる。これを裏付けるように、日本放送協会の令和六年度「収支予算と事業計画の説明資料」及び「インターネット活用業務実施計画」においては、インターネット活用業務を必須業務とする改正放送法が国会で成立した場合に、令和六年度内に準備を行う費用が十五億円であるとしている。ひいては今後、必須業務化で追加で必要となった費用を賄うため、受信料の値上げなど、更なる視聴者の負担が強く懸念されるところである。

政府の答弁書では、取りまとめにおいて「受信料の値上げに関する記述はないと承知している」としているが、日本放送協会から必須業務化によって生じる費用が提示された今、必須業務化に伴う経費・予算の増加及びこれによる視聴者の負担がどうなるのかについて検討しなくて良いのか、改めて政府の考えについて回答されたい。

回答(質問2 について)

 日本放送協会の毎事業年度の収支予算、事業計画及び資金計画については、言論報道機関としての同協会の自立性を確保する観点等から、放送法(昭和二十五年法律第百三十二号)第七十条第一項において、同協会が自ら作成し、総務大臣に提出することとされており、その上で、同条第二項において、総務大臣が検討して意見を付し、内閣を経て国会に提出し、その承認を受けることとされている。また、同協会の受信料の額については、同条第四項において、国会が、収支予算を承認することによって、定めることとされている。

 御指摘の十五億円を含む同協会の令和六年度の収支予算、事業計画及び資金計画については、インターネット活用業務に関し、同協会の目的や受信料制度の趣旨に沿って、インターネット活用業務実施基準に基づき、適正な規模の下で節度をもって事業を運営することに配意すべきこと等を内容とする総務大臣の意見を付して今国会に提出したところである。また、令和七年度以降の収支予算、事業計画及び資金計画については、御指摘の「必須業務化に伴う経費・予算」を含め、まずは同協会において作成すべきものであると考えている。