在日米軍基地のPCB廃棄物に関する質問主意書
質問1
日本政府は、二〇〇三年(平成十五年)四月十七日の参議院外交防衛委員会において、政府参考人(海老原外務省北米局長)が、「米国の国防省が、二〇〇二年八月二十八日に、在日米軍の施設・区域にある米国製及び日本製のすべてのPCB含有物資を米国に搬出して処理、廃棄するという方針を決定した」「在日米軍が管理するPCB(ポリ塩化ビフェニル)含有物資の総重量は、約三千百十八トン」旨を答弁している。では、この答弁以降現在までの約二十年で、どれだけのPCB含有物資が米国に搬出されたのか、そして現在、在日米軍施設・区域にどれだけのPCB含有物資が残されたままになっているのか、政府として把握しているところをお聞きする。
あわせて、日本政府は、国民の命と健康を守るため、米国側に強く情報開示を求めるべきであり、主権国家としての責務を果たすべきと考えるがいかがか、政府の見解を問う。
回答(質問1 、質問2 の後段、質問3 及び質問5 について)
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(平成十六年条約第三号)及びポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号。以下「法」という。)等に基づき、国内の法第二条第一項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)への対応を行っている。
在日米軍施設及び区域内の御指摘の「PCB含有物資」については、お尋ねの「現在までの約二十年で、どれだけのPCB含有物資が米国に搬出されたのか」及び「現在、在日米軍施設・区域にどれだけのPCB含有物資が残されたままになっているのか」を現時点において把握しておらず、これらの情報の把握を含め、米国との間で、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会等様々な場で、外務省、環境省、防衛省等関係省庁で連携しつつ、適切に処理されるよう働きかけるなど、環境対策が実効的なものとなるよう取り組んでいる。
質問2
二〇二三年(令和五年)十一月十日の衆議院環境委員会における私、堤かなめの質疑に対し、政府参考人(山野防衛省地方協力局次長)は、「二〇一八年度から二〇二二年度までの間に、返還地を含む全国の在日米軍施設・区域から発生をしたPCB廃棄物の処理に要した費用は約四千九百万円であり、総量は約八十九トン」と答弁した。そこで、二〇〇三年以降、現在に至る二十年間の返還地を含む全国の在日米軍施設・区域から発生したPCB廃棄物の処理に要した費用および総量の内訳を施設・区域ごとに、可能な限り示していただきたい。
あわせて、米国自身が示した「在日米軍の施設・区域にある米国製及び日本製のすべてのPCB含有物資を米国に搬出して処理、廃棄する」という方針を確実に履行していただくべきであり、日本がPCB廃棄物の処理をこれ以上肩代わりすべきではないと考えるが、政府の見解を問う。
回答(質問1 、質問2 の後段、質問3 及び質問5 について)
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(平成十六年条約第三号)及びポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号。以下「法」という。)等に基づき、国内の法第二条第一項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)への対応を行っている。
在日米軍施設及び区域内の御指摘の「PCB含有物資」については、お尋ねの「現在までの約二十年で、どれだけのPCB含有物資が米国に搬出されたのか」及び「現在、在日米軍施設・区域にどれだけのPCB含有物資が残されたままになっているのか」を現時点において把握しておらず、これらの情報の把握を含め、米国との間で、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会等様々な場で、外務省、環境省、防衛省等関係省庁で連携しつつ、適切に処理されるよう働きかけるなど、環境対策が実効的なものとなるよう取り組んでいる。
回答(質問2 の前段について)
お尋ねについては、防衛省が把握している限りにおいて、平成十五年度から令和四年度までに要した費用及び総量の内訳について、返還地を含む在日米軍施設及び区域の別にお示しすると、次のとおりである。
三沢飛行場 約二百万円 約九トン
横田飛行場 約三十万円 約一トン
旧深谷通信所 約千百万円 約四十トン
根岸住宅地区 約六百万円 約二十二トン
旧上瀬谷通信施設 約千五百万円 約二トン
岩国飛行場 約三百万円 約八トン
佐世保海軍施設 約二百万円 約七トン
旧知覧通信所 約二千四百万円 約七トン
旧恩納通信所 約二億六百万円 約百四トン
旧嘉手納飛行場 約二千七百万円 約二百十八トン
嘉手納飛行場 約七百万円 約十二トン
旧キャンプ桑江 約千四百万円 約〇・五トン
旧キャンプ瑞慶覧 約一億千九百万円 約十一トン
旧牧港補給地区 約百万円 約〇・〇三トン
牧港補給地区 約千百万円 約二十一トン
質問3
同じく、二〇二三年(令和五年)十一月十日の衆議院環境委員会における私、堤かなめの質疑に対し、伊藤環境大臣は、「今御質問の在日米軍施設・区域内のPCB廃棄物についても、日本のPCB処理行政の趣旨等を尊重し、適切に対応いただくように、防衛省、外務省と綿密に連携して進めてまいりたい」と答弁した。では、この答弁以降、どのように防衛省、外務省と連携し、どのような進展があったのかお聞きする。
回答(質問1 、質問2 の後段、質問3 及び質問5 について)
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(平成十六年条約第三号)及びポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号。以下「法」という。)等に基づき、国内の法第二条第一項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)への対応を行っている。
在日米軍施設及び区域内の御指摘の「PCB含有物資」については、お尋ねの「現在までの約二十年で、どれだけのPCB含有物資が米国に搬出されたのか」及び「現在、在日米軍施設・区域にどれだけのPCB含有物資が残されたままになっているのか」を現時点において把握しておらず、これらの情報の把握を含め、米国との間で、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会等様々な場で、外務省、環境省、防衛省等関係省庁で連携しつつ、適切に処理されるよう働きかけるなど、環境対策が実効的なものとなるよう取り組んでいる。
質問4
PCB処理施設JESCO(中間貯蔵・環境安全事業株式会社)は、北九州事業所が二〇二四年三月末、残る四施設も二〇二六年三月末までに閉鎖されると聞いている。住民の抵抗感が強い処理施設を地域に受け入れてもらうため、あらかじめ地元に操業期間や処分量の目安を示し、終了後は撤去することを約束したという経緯があり延長すべきではないと考えるが、それぞれの施設の閉鎖日について、政府が承知していることをお聞きする。
あわせて、従前の閉鎖日を延長する施設、および延長の可能性がある施設があるのか、その理由はなぜなのか、在日米軍のPCBの処理が理由となっているのかも、政府の把握しているところをお聞きする。
回答(質問4 について)
お尋ねの「閉鎖日」及び「従前の閉鎖日」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、中間貯蔵・環境安全事業株式会社法(平成十五年法律第四十四号)に基づき設立された中間貯蔵・環境安全事業株式会社が整備したPCB廃棄物の処理施設については、北九州事業所、豊田事業所及び大阪事業所は令和五年度末までに、東京事業所及び北海道事業所は令和七年度末までに、PCB廃棄物の処理を行う事業を終了する予定であり、法第六条に基づき定められた「ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理基本計画」(令和四年五月三十一日閣議決定)で定める「事業の時期」を超えて当該事業を実施する予定はないと承知している。
質問5
我が国が加盟する「残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約」(POPs条約)では、PCBに関し、二〇二五年までの使用の全廃、二〇二八年までの適正な処分を求めており、日本政府は、在日米軍施設・区域を含め、国内のPCB廃棄物について、この条約に従った対応をすべきと考えるが、政府の見解を問う。
回答(質問1 、質問2 の後段、質問3 及び質問5 について)
残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(平成十六年条約第三号)及びポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号。以下「法」という。)等に基づき、国内の法第二条第一項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)への対応を行っている。
在日米軍施設及び区域内の御指摘の「PCB含有物資」については、お尋ねの「現在までの約二十年で、どれだけのPCB含有物資が米国に搬出されたのか」及び「現在、在日米軍施設・区域にどれだけのPCB含有物資が残されたままになっているのか」を現時点において把握しておらず、これらの情報の把握を含め、米国との間で、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約第六条に基づく施設及び区域並びに日本国における合衆国軍隊の地位に関する協定(昭和三十五年条約第七号)第二十五条1の規定に基づき設置された合同委員会等様々な場で、外務省、環境省、防衛省等関係省庁で連携しつつ、適切に処理されるよう働きかけるなど、環境対策が実効的なものとなるよう取り組んでいる。
質問6
在日米軍施設・区域内のPCB廃棄物の調査・搬出・処理等に要する費用は、上述のように、本来は排出者である米国自身が負担すべきと考えるが、令和六年度予算において、在日米軍施設・区域内のPCB廃棄物の調査・搬出・処理等にかかる費用を計上しているのか。計上しているとすれば、その総額と内訳を示されたい。
回答(質問6 について)
お尋ねについては、約五百万円を計上しており、その内訳は、三沢飛行場が約三百万円、富士営舎地区が約二百万円である。
質問7
同じくドイツ、イタリア、韓国など同条約加盟国の在外米軍施設・区域において、PCB含有物資の処理はどうなっているのか、その処理方法や費用負担について政府として把握しているところをお聞きする。
回答(質問7 について)
お尋ねは、各国政府による「在外米軍施設・区域」に係る対応に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。