日本郵政グループの経営環境の改善に関する質問主意書
内閣衆質二一二第二六号「衆議院議員原口一博君提出日本郵政グループの経営環境の改善に関する質問に対する答弁書」を令和五年十一月二十日に受領したが、答弁内容に不十分な部分があるので、質問の意図をより明らかにした上で再び質問する。
質問1
政府開催の有識者会議等で、郵便局ネットワーク活用の検討や実証実験が進められていると承知しているが、収益が見込まれるものは皆無に等しく、打開策はいまだ得られていないと認識している。一方、日本郵政グループの経営環境の改善は一刻の予断をも許さない状況である。
そこで、郵政事業におけるユニバーサルサービスを維持するため、我々立憲民主党の郵政ワーキングチームが令和三年六月に総務省と金融庁に申し入れた提言では、ユニバーサルサービスに係る費用について、税制上の優遇措置、公的補助や基金を創設すること、また、それを財務上実質的に支えている株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険(以下「金融二社」という。)に対しては、両社の新規事業に係る認可を柔軟化することを提言しているが、これらの提言についての政府の見解を伺いたい。
回答(質問1 について)
御指摘の「税制上の優遇措置、公的補助や基金」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、「ユニバーサルサービス」については、郵政民営化法(平成十七年法律第九十七号)第七条の二等の規定を踏まえ、日本郵政株式会社及び日本郵便株式会社が経営努力により維持すべきものと考えており、また、政府においても、郵便局ネットワークの維持の支援のための交付金の制度の適切な運用を行うほか、同社に対し、利便性や質の高いサービスの開発及び提供に取り組むことに加え、従業員の賃金の引上げや委託事業者への適正な価格転嫁などを求めつつ、郵便料金の見直しに係る議論を情報通信行政・郵政行政審議会において行う等の取組を行っている。
また、御指摘の「新規事業に係る認可を柔軟化すること」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、株式会社ゆうちょ銀行については、同法第百十条第一項の認可に当たって、同法その他関連法令の規定等に基づき、他の金融機関等との間の適正な競争関係及び利用者への役務の適切な提供を阻害するおそれがないか等について審査しており、また、株式会社かんぽ生命保険については、日本郵政株式会社が株式会社かんぽ生命保険の株式の二分の一以上を処分したことから、郵政民営化法第百三十八条の認可の対象ではない。
質問2
日本郵便株式会社が担う郵便事業と郵便局ネットワークを持続可能なものとするためには、日本郵政グループの一体経営が必要であり、郵政民営化の際においても、金融二社の主たる営業拠点を郵便局が担うことを前提とした制度設計となっている。一方、郵政民営化法においては、日本郵政株式会社の持つ金融二社株式の全数処分を求めており、前述の制度設計との矛盾が顕在化している。また、全数処分への道筋、その後の持続的なグループ経営への担保措置もないまま十五年を超える月日が経過した。
そこで、提言では、日本郵政株式会社の金融二社株式の保有義務化等、もしくは金融二社業務の郵便局への委託の義務化を制度的担保策として示しているが、これらの提言それぞれについての政府の見解を伺いたい。
回答(質問2 について)
株式会社ゆうちょ銀行及び株式会社かんぽ生命保険の株式の処分に当たっては、日本郵政グループにおいて、郵政民営化法第七条の規定に基づき、同法第七条の二に規定する責務の履行等への影響を勘案して適切に判断されるべきものであり、また、当該責務の履行のための具体的な方策については、まずは日本郵政グループにおいて、適切に検討されるべきものであると考えている。