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神宮外苑再開発計画における秩父宮ラグビー場の移転に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 牧義夫
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

神宮外苑地区において、秩父宮ラグビー場と神宮球場の場所の入れ替え、商業施設等が入る高層ビルの新築等を内容とする市街地再開発事業が計画されている。この事業は、東京都が平成三十年十一月に策定した「東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」を踏まえ、事業地区内の土地・建物の権利者でもある三井不動産株式会社、宗教法人明治神宮、伊藤忠商事株式会社及び独立行政法人日本スポーツ振興センター(JSC)を事業主体として進められているものであり、権利者全員の同意に基づいて従後の権利形態を決定する、全員同意型の権利変換方式によるものとされ、各権利者は、従前の資産に見合う資産を取得することが予定されている。

事業計画において、神宮球場と場所の入れ替えが予定されている秩父宮ラグビー場は、その運営をJSCに行わせるために国が土地・建物を出資し、JSCの資産となったものであり、西の花園ラグビー場と並ぶラグビーの聖地である。秩父宮殿下の御遺徳を偲び、「秩父宮ラグビー場」と名付けられたこのラグビー場は、これまで多くの国際試合、日本選手権試合、学生試合等の会場として使用されてきたもので、その歴史的・文化的価値に鑑みれば、本来は移転・新規建設ではなく、現地建て替えなどにより、後世に引き継がれるべき我が国の財産だと考える。仮に、現地建て替えが困難だとするならば、秩父宮ラグビー場の持つ有形・無形の価値が十分に評価された上で、その価値を損なうことがない方法によらなくてはならない。

これを踏まえ、次のとおり質問する。

質問1

JSCは、保有する重要な財産である秩父宮ラグビー場について、再開発事業における権利変換を行う場合、独立行政法人通則法第四十八条の規定に基づき、文部科学大臣から財産処分の認可を受ける必要がある。昨年十一月十五日の文部科学委員会における質疑に対する答弁では、同時点においてJSCによる秩父宮ラグビー場の権利変換に係る財産処分の認可申請は行われていないとのことだった。

1 その後、認可申請は行われたのか。

2 いまだ認可申請が行われていないとすれば、いつまでに行われなければならないものなのか。工期敷地引渡し時期等との関係を含めてご教示願う。

3 認可申請が行われていないとすれば、行われないまま、「新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業」契約が締結されている現状について文部科学省はどのように考えているか。

4 認可申請の申請書に記載される「センターの業務運営上支障がない旨及びその理由」の検討の際には、座席数を減らしたことによる影響やイベントに係る需要予測等の調査・シミュレーションが必須と思料される。これらの妥当性を判断した上で認可がなされるべきと考えているか。判断に際してパブリックコメントなど、国民の声を聴く予定はあるか。

5 認可申請の申請書に記載されたセンターの業務運営上支障がない旨の理由の如何によっては不認可もあり得るか。

回答(質問1 の1について)

 令和六年二月七日時点において、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センター」という。)から文部科学大臣に対し、秩父宮ラグビー場に係る独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号。以下「通則法」という。)第四十八条の規定に基づく重要な財産の処分等の認可(以下「財産処分の認可」という。)の申請は行われていない。

回答(質問1 の2について)

 秩父宮ラグビー場に係る財産処分の認可の申請の時期については、センターを含む関係事業者間における協議の状況等を踏まえつつ、センターにおいて判断されるものと考えている。

回答(質問1 の3について)

 御指摘の事業は、東京都が策定した「東京二〇二〇大会後の神宮外苑地区のまちづくり指針」等を踏まえ、センターが関係自治体及び関係事業者と協議しながら実施しているものであり、政府としてお答えする立場にない。

回答(質問1 の4の前段及び5について)

 通則法第四十八条の趣旨は、独立行政法人が重要な財産の処分等を行おうとする場合にこれを主務大臣の認可に係らしめ、当該処分等が当該法人の業務運営を阻害しないことを確認できるようにするものであり、秩父宮ラグビー場に係る財産処分の認可についても、その趣旨にのっとり判断することとなると考えている。

回答(質問1 の4の後段について)

 お尋ねの「国民の声を聴く」の具体的な内容が必ずしも明らかではないが、政府としてパブリックコメントを実施する予定はない。

質問2

権利変換に向けた協議において、JSCは秩父宮ラグビー場の資産価値をどのように評価したか、政府として把握しているか。

回答(質問2 及び質問4 の後段について)

 御指摘の「権利変換」の具体的な内容については、センターを含む関係事業者間で協議中であると承知しており、政府としては、お尋ねの「秩父宮ラグビー場の資産価値」及び「取得予定の資産価値」については、今後、センターから財産処分の認可の申請書が提出された場合には、その内容を確認する予定である。

質問3

資産価値には必ずしも直結しない秩父宮ラグビー場の歴史的・文化的価値について、どのように評価されるべきとお考えか文部科学省の見解を伺う。

回答(質問3 について)

 お尋ねの趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。

質問4

権利変換によりJSCが取得することが予定されている資産は何か伺う。また、JSCはこの取得予定の資産価値が、秩父宮ラグビー場の資産価値に見合うと判断した上で、「新秩父宮ラグビー場(仮称)整備・運営等事業」契約を締結したものと思料するが、その理由について、秩父宮ラグビー場、神宮球場の価格差、交換面積、容積率等を示しつつ、所管官庁として具体的に説明されたい。

回答(質問2 及び質問4 の後段について)

 御指摘の「権利変換」の具体的な内容については、センターを含む関係事業者間で協議中であると承知しており、政府としては、お尋ねの「秩父宮ラグビー場の資産価値」及び「取得予定の資産価値」については、今後、センターから財産処分の認可の申請書が提出された場合には、その内容を確認する予定である。

回答(質問4 の前段について)

 秩父宮ラグビー場の移転に伴い新設されるラグビー場の用に供する土地及び建物を取得する予定であると承知している。