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不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する再質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 中谷一馬
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

当方が令和六年五月十五日提出した、「不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問主意書」に対して、同月二十四日に「衆議院議員中谷一馬君提出不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問に対する答弁書」(内閣衆質二一三第九三号)を受領したので、その内容を元に以下、再質問する。

質問1

当方が令和六年五月十五日提出した、「不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問主意書」にて「一 本年五月十日付中国新聞によれば、二〇〇〇年以降の自民党政権で官房長官を務めた元政権幹部が中国新聞の取材に対し、国政選挙の候補者に陣中見舞いの現金を渡す際に内閣官房報償費(以下「機密費」という。)を使ったと証言し、選挙への使用は目的外使用の可能性があり、元官房長官は不適切な支出だったと認めたとされる。元官房長官によると、国政選挙で首相に頼まれて候補者の応援演説に出向いた際に、機密費から陣中見舞いの現金を渡したという。額は百万円だったと説明し、「首相が行けないから代わりに行ってくれと言われ、仕事みたいに思っていた」と釈明したとのことである。当該記事に記載されているような、国政選挙の候補者に陣中見舞いの現金を渡す際に機密費を使った事実があるのか伺いたい。」と質問したところ「一について 内閣官房報償費については、令和六年二月十三日の衆議院予算委員会において、林内閣官房長官が「内閣官房報償費は、国の機密保持上、その使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきておりまして、その個別具体的な使途に関するお尋ねについては、お答えを一切差し控えております」と述べているとおりであり、その具体的な使途に関するお尋ねについてお答えすることは差し控えたい。いずれにせよ、内閣官房報償費については、その取扱責任者である内閣官房長官の判断と責任の下に、厳正かつ効果的に執行しているところであり、また、会計検査院の検査を受けているところである。」との答弁があったので、以下質問する。

1 この答弁は、国政選挙の候補者に陣中見舞いの現金を渡す際に内閣官房報償費(以下「機密費」という。)を使うなど、機密費の選挙への使用の事実があるという報道内容について、政府として否定しないという理解でよいか確認したい。

2 機密費は、会計検査院に支出先など説明を求められず、何に使ったのかを知っているのは、官房長官のみであるという認識で正しいか否か。正しいとすれば、機密費を厳正かつ効果的に執行しているかどうかについて、会計検査院が確認することは困難であると考えるが、如何か。

3 会計検査院の検査では、機密費について、選挙への支出の有無の確認を受けているか、伺いたい。

回答(質問1 の1について)

 先の答弁書(令和六年五月二十四日内閣衆質二一三第九三号。以下「前回答弁書」という。)におけるお尋ねの答弁は、内閣官房報償費の取扱いについて述べた上で、「その具体的な使途に関するお尋ねについてお答えすることは差し控え」る旨を述べたものであり、それ以上のことを述べたものではなく、お尋ねの「理解でよいか」否かについてはお答えを差し控えたい。

回答(質問1 の2について)

 内閣官房報償費の執行においては、その一部について、取扱責任者である内閣官房長官が指名する事務補助者を介して支払を行っているところであり、お尋ねの「認識」のとおりではない。

回答(質問1 の3について)

 お尋ねについては、内閣に対し独立の地位を有する会計検査院の会計検査に関わる事柄であり、政府としてお答えする立場にない。

質問2

当方が令和六年五月十五日提出した、「不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問主意書」にて「二 政府として、歴代の官房長官に対し、機密費を選挙資金として国政選挙の候補者に提供した事例があるか確認するべきと考えるが如何か。」と質問したところ「二について 内閣官房報償費については、その取扱いは一についてでお答えしたとおりであり、また、その取扱責任者である内閣官房長官が、その都度の判断で機動的に使用する経費であって、その判断と責任の下に、厳正かつ効果的に執行しているところであり、過去に、その時々の内閣官房長官の判断により執行されたものについて現内閣において御指摘のような確認を行うことは考えていない。」との答弁があったが、質問主意書提出後の五月三十一日の中國新聞デジタルにおいて、「十九年参院選広島選挙区の大規模買収事件では、主犯の元法相河井克行(氏)に対し、当時首相の安倍晋三(氏)(二十二年死去)が二千八百万円、官房長官の菅義偉(氏)が五百万円を提供した疑惑が浮上。機密費が使われたのではないかとの見方が出ている」「安倍首相が十三年参院選で候補者に百万円 報告書記載なし 機密費か」「複数の元政権幹部は、機密費から出していた可能性があると指摘する」などの旨の報道があり、機密費を厳正かつ効果的に執行しているという答弁の信憑性に対して強い疑義が抱かれている状況にあることは言うまでもない。そこで、以下質問する。

1 岸田政権は、機密費を「厳正かつ効果的に執行している」ことを客観的に示すことはできるか否か伺いたい。示すことができる場合は、エビデンスを交えながら詳細について説明されたい。示すことができない場合は、客観的に説明することができないにもかかわらず、「厳正かつ効果的に執行している」と強弁することができるのか、その論理について根拠を交えながら丁寧に説明されたい。

2 機密費のあり方について、強い疑念が抱かれている現状があるが、「過去に、その時々の内閣官房長官の判断により執行されたものについて現内閣において御指摘のような確認を行うことは考えていない。」と岸田政権が閣議決定した合理的な理由について、根拠を交えながらその論理の詳細を説明されたい。

回答(質問2 の1について)

 お尋ねの「機密費を「厳正かつ効果的に執行している」ことを客観的に示すこと」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、いずれにせよ、内閣官房報償費は、その取扱責任者である内閣官房長官が、毎年度及びその交代の都度定める執行に当たっての基本的な方針に従って、自らの判断と責任により、当該基本的な方針において定めた目的類型ごとに、それぞれの目的に照らして厳正かつ効果的に執行しており、また、会計検査院の検査を受けている旨、説明してきている。

回答(質問2 の2について)

 お尋ねについては、前回答弁書二についてで述べたとおりである。

質問3

当方が令和六年五月十五日提出した、「不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問主意書」にて「三 本年五月十二日にNHK番組で、自民党の政治刷新本部政治資金に関する法整備検討ワーキンググループ座長を務める鈴木馨祐衆議院議員が機密費を巡り「選挙目的で使うことはない。断言する。」と語ったが、当該発言の根拠が示されていないことが問題となっている。1 政府として機密費が選挙目的で使われたことがないと断言できる根拠を持っているか伺いたい。2 根拠がある場合にはその詳細について根拠を示されながら明瞭に説明をされたい。3 根拠が示せない場合、本件発言はそもそも政府に事実確認をされていない根拠のない発言であるのか伺いたい。4 本件発言に関して、林芳正官房長官は「個々の議員の発言にコメントすることは差し控える」、「国の機密保持上、使途等を明らかにすることが適当でない性格の経費として使用されてきており、個別具体的な使途に関するお尋ねにはお答えを一切差し控えている」旨の発言をしている。不適切な支出が疑われている問題に関して、岸田政権が真摯な説明を行わず真実を明らかにされない姿勢は国民の理解を得られないと考えるが如何か。」と質問したところ「三の1及び2について 内閣官房報償費については、その取扱いは一についてでお答えしたとおりであり、その具体的な使途に関するお尋ねについてお答えすることは差し控えたい。」「三の3及び4について 政府として、国会議員の個々の発言に関し、お答えすることは差し控えたいが、いずれにせよ、内閣官房報償費については、引き続き、厳正かつ効果的な執行を徹底するとともに、御指摘の「国民の理解」を得られるよう努めてまいりたい。」との答弁があったので、以下質問する。

1 政府として、機密費が選挙目的で使われたことがないと断言できる根拠の有無について答弁することはできず、政府が根拠を持っていないという可能性を、政府として否定していないという理解でよいか確認したい。

2 「本件発言」が政府に事実確認をした上での発言ではないという可能性を、政府として否定していないという理解でよいか確認したい。

3 自民党の政治刷新本部政治資金に関する法整備検討ワーキンググループ座長を務める鈴木馨祐衆議院議員が二百八十二万円の収入が不記載だったとして政治資金規正法違反の疑いが持たれ、政治資金収支報告書を訂正しました。報道によれば、数年にわたり裏金処理が恒常化されていた疑いがあり、国会でも「規正法の法案提出者が、規正法違反の行為をしていた。規正法の法案を出す資格がない」 などと厳しく指摘されており、岸田文雄総理大臣・自由民主党総裁の任命責任を問う声も上がっていますが、現在でもこの人選は適切であったと考えているのか。また、岸田内閣はこうした一連の問題をどのように捉えているのか伺いたい。

回答(質問3 の1及び2について)

 御指摘の前回答弁書三の1及び2について及び三の3及び4についての答弁は、前回答弁書一についてで述べた内閣官房報償費の取扱いを前提として、「その具体的な使途に関するお尋ねについてお答えすることは差し控え」る旨及び「政府として、国会議員の個々の発言に関し、お答えすることは差し控え」る旨を述べたものであり、それ以上のことを述べたものではなく、お尋ねの「理解でよいか」否かについてはお答えを差し控えたい。

回答(質問3 の3について)

 お尋ねについては、政治家個人又は特定の政党の活動に関するものであり、政府としてお答えする立場にない。

質問4

当方が令和六年五月十五日提出した、「不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問主意書」にて「四 松野博一前官房長官が二〇二三年十二月一日から辞任した十二月十四日までの間に、使途が公表されない機密費を四千六百六十万円支出したとのことであるが、岸田政権は裏金問題の渦中の人物が使い道を明らかにしない多額の金を支出して、国民の理解・納得を得られると考えているのか伺いたい。」と質問したところ「四について 内閣官房報償費は、施策の円滑かつ効果的な推進に資するため、内閣官房長官のその都度の判断で機動的に使用する経費であり、その時々の内閣官房長官の判断と責任の下に、厳正かつ効果的に執行しているところであり、松野前内閣官房長官も同様に執行したものと考えている。いずれにせよ、内閣官房報償費については、その取扱いは一についてでお答えしたとおりであり、引き続き、厳正かつ効果的な執行を徹底するとともに、御指摘の「国民の理解・納得」を得られるよう努めてまいりたい。」との答弁があったが、どのように国民の理解・納得を得られるよう努めるのか、表面的な言葉だけではなく、その具体策についてお示しされたい。

回答(質問4 について)

 お尋ねについては、内閣官房報償費の取扱責任者である内閣官房長官が、毎年度及びその交代の都度定める執行に当たっての基本的な方針に従って、自らの判断と責任により、その目的類型ごとに、それぞれの目的に照らして厳正かつ効果的に執行していくことと併せて、内閣官房報償費に関する行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号。以下「法」という。)に基づく開示請求があった場合に、平成三十年一月十九日最高裁判所第二小法廷判決を踏まえて適切に対応していくことや、会計検査院の検査に真摯に対応していくことが重要であると考えている。

質問5

当方が令和六年五月十五日提出した、「不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問主意書」にて「五 自民党と裏金の問題に関しては、実態解明は不十分、処分は甘く、自民党の改革案は羊頭狗肉と評される改革する気が全く見えない内容となっており、国民の怒りが頂点に達している。そうした中、菅義偉元首相が内閣官房長官に在任した七年八カ月余(二千八百八十二日)で政策推進費として領収書不要で自身に支出した機密費は八十六億八千万円超だったことが報じられており、支出した機密費の総額九十五億四千二百万円余の九十・九七%を菅元首相のつかみ金として一日平均三百七万円を使用した計算となる。一般的に未来永劫こうした支出の使途を秘匿にしたまま執行することは国民から理解を得られるものではない。そうした中、本年五月十日付中国新聞によれば、法政大学大学院の白鳥浩教授は「機密費は本来、国家の安全のための情報活動などに使うべきだ。選挙の裏金として使うのは民主主義の根幹をゆがめる行為で、違法性も疑われる」と指摘、「第三者機関が秘密保持を誓約した上で、適正に使われているかをチェックできるよう運用を見直すべきだ」と提案したとされている。岸田政権は機密費について、本提案のように第三者機関が秘密保持を誓約した上で、適正に使われているかをチェックができるよう運用を見直す考えはないか。」と質問したところ「五について 内閣官房報償費については、その取扱責任者である内閣官房長官の判断と責任の下に、厳正かつ効果的に執行しているところであり、また、会計検査院の検査を受けているところであって、お尋ねの「本提案のように第三者機関が秘密保持を誓約した上で、適正に使われているかをチェックができるよう運用を見直す」考えはない。」との答弁があったが、右記の質問でも伺っているように、機密費を厳正かつ効果的に執行していることを証明する客観的な根拠が説明されず、会計検査院も支出先などの詳細を把握しておらず、機密費の具体的な使途を知っているのは官房長官のみであるという現状を踏まえれば、「第三者機関が秘密保持を誓約した上で、適正に使われているかをチェックができるよう運用を見直す」ことは適切な改善であると考えるが、「お尋ねの「本提案のように第三者機関が秘密保持を誓約した上で、適正に使われているかをチェックができるよう運用を見直す」考えはない。」と閣議決定した理由について、合理的な論理について説明されたい。また、政府は現状の運用で問題が生じておらず、改善の必要性はないと考えているのか、併せて認識を確認したい。

回答(質問5 について)

 前段のお尋ねについては、前回答弁書五についてで述べたとおりである。

 後段のお尋ねについては、内閣官房報償費については、引き続き、現在の「内閣官房報償費の取扱いに関する基本方針」(平成十四年四月一日内閣官房長官決定)に基づき、その取扱責任者である内閣官房長官が、毎年度及びその交代の都度定める執行に当たっての基本的な方針に従って、自らの判断と責任により、当該基本的な方針において定めた目的類型ごとに、それぞれの目的に照らして厳正かつ効果的に執行していくことが必要であると考えている。

質問6

当方が令和六年五月十五日提出した、「不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問主意書」にて「六 機密費は、国の施策推進のために予算化され、機密を理由に使途は公表されていない状況にある。機密費の使い道を一定の期間をもって公表し、後世の人々がその利用が適正であったか検証できるように、例えば、二十五年後には「?政策推進費受領簿(内閣官房長官が政策推進費の繰入れを行う都度並びに会計年度末及び内閣官房長官が交代する際に作成する文書)」・「?支払決定書(調査情報対策費又は活動関係費の支払決定を行う都度作成される文書)」・「?出納管理簿(報償費の月ごとの出納状況をまとめた文書)」・「?報償費支払明細書(前月繰越額、本月受入額、本月支払額及び翌月繰越額等が記載されている文書及び各支払に関する一覧表)」・「?領収書等(役務提供者等の支払相手方から受領した領収書等)」などの機密費に関連する行政文書を公開し、ブラックボックスをなくしていくべきであると考えるが岸田政権の考えは如何か。」と質問したところ「六について お尋ねの「公開」及び「ブラックボックスをなくしていくべきである」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の文書を含め、内閣官房報償費に関する行政機関の保有する情報の公開に関する法律(平成十一年法律第四十二号)に基づく開示請求があった場合には、平成三十年一月十九日最高裁判所第二小法廷判決を踏まえて対応しているところであり、具体的には、内閣官房報償費の支払の相手方や具体的な使途等に関する情報及びこれらの事項を相当程度の確実性をもって特定することが可能になる場合がある情報について、同法第五条第三号又は第六号の不開示情報に該当するものと判断し、不開示としてきている一方で、右に述べた情報以外の情報については、同法に基づく開示請求に対し、適切に開示しているところである。」との答弁があったので、以下質問する。

1 「ブラックボックスをなくしていくべきであるの意味するところが必ずしも明らかではない」とのことであるが、大辞林第四版によれば、「ブラックボックス」は「内容や経過など、実際の様子がまわりから見えないことの例え」という意味で説明されているが、岸田政権では「ブラックボックスをなくしていく」という文章における「ブラックボックス」の意味をどのように解釈されているのか、言葉の認識について確認したい。

2 「機密費の支払の相手方や具体的な使途等に関する情報及びこれらの事項を相当程度の確実性をもって特定することが可能になる場合がある情報」については、行政機関の保有する情報の公開に関する法律第五条第三号又は第六号の不開示情報として取り扱っているとのことであるが、一度不開示とした情報を、例えば、二十五年後の将来に開示する必要性及び不必要性を岸田政権はどのように考えているのか伺いたい。また、一度不開示とした情報を、数十年先の将来において開示した場合、具体的にどのような問題が生じると考えているのか、詳細について説明されたい。

3 岸田政権は、「機密費の支払の相手方や具体的な使途等に関する情報及びこれらの事項を相当程度の確実性をもって特定することが可能になる場合がある情報」について、将来的には後世が検証できるように開示する必要があると考えているか、それともその必要はないと考えているか伺いたい。またその必要がないと考えている時には未来永劫必要ないと考えているのか併せて伺いたい。

4 令和六年六月十七日の決算行政監視委員会にて政策活動費を十年後に公開することに関する議論が行われた際に、岸田文雄総理大臣は、「何で十年かということについてお答えするならば、先ほど申し上げました、政策活動費を明らかにするに当たっては、個人のプライバシーや政党の大きな方向性が外部に漏れる等のおそれがあるということを申し上げましたが、こういったおそれも、十年たてば時代の経過とともにそうしたおそれ、弊害についても薄まっていくであろう、こういった観点から、十年の後の公開という制度を他党の意見も聞きながら決定をした」と答弁したが、政策活動費は十年後に公開できるが、機密費は公開できないのは何故か、その論理を明快に示されたい。

回答(質問6 の1について)

 お尋ねの「ブラックボックス」については、一般に、御指摘のような意味であると認識している。

回答(質問6 の2から4までについて)

 内閣官房報償費は、施策の円滑かつ効果的な推進に資するため、内閣官房長官のその都度の判断で機動的に使用する経費であり、御指摘の「政策活動費」とはその支出主体等を異にするものである。内閣官房報償費の支払の相手方や具体的な使途等に関する情報及びこれらの事項を相当程度の確実性をもって特定することが可能になる場合がある情報が開示された場合には、重要政策等に関する事務の遂行に支障が生ずるおそれがあるとともに、今後の内閣官房の活動全般に支障が生ずることもあり得る。このため、内閣官房報償費については、前回答弁書一についてで述べた取扱いとするとともに、法に基づく開示請求があった場合には、平成三十年一月十九日最高裁判所第二小法廷判決を踏まえて対応しているところである。内閣官房報償費の機能の維持に最大限留意する必要があるため、長期間を経過した後であっても右に述べたような支障がなくなるとは考えておらず、内閣官房報償費に関する情報については、現在の取扱いを維持するべきであると考えている。

質問7

当方が令和六年五月十五日提出した、「不明瞭な内閣官房報償費の諸課題に関する質問主意書」にて「七 機密費は、「内閣官房の行う事務を円滑かつ効果的に遂行するために、当面の任務と状況に応じて機動的に使用することを目的とした経費」であり、毎年度予算措置が講じられ、その取扱責任者である内閣官房長官の請求により国庫から支出され、内閣官房長官の手元におかれる。1 機密費については、目的、支出方法等について定める法令は存在しないと認識しているがその理解で正しいか。2 機密費を目的外に利用することや不適切な支出を行った際には何か罰則があるのか伺いたい。ない場合には何故何も罰則を設けないのか伺いたい。3 機密費について、目的、支出方法等について定める法令は存在しないと認識している。しかし、六までで述べたような問題点が生じていることから、機密費の目的、支出方法等を法令上明記し、その運用については国会の監視機能を働かせるとともに、不適切な取扱いについての罰則規定を設ける必要があると考えるが、岸田政権の考えは如何か。」と質問したところ「七について 内閣官房報償費の目的を直接に定める法令は存在しない。お尋ねの「支出方法等」の意味するところが必ずしも明らかではないが、内閣官房報償費についても会計法(昭和二十二年法律第三十五号)等の規定の適用がある。また、御指摘の「目的外に利用することや不適切な支出を行う」ことを含め、内閣官房報償費の執行に関し、仮に法令違反が認められる場合には、罰則を含め、法令等の規定に基づき対処することとなる。お尋ねの「その運用については国会の監視機能を働かせる」の具体的に意味するところが明らかではないが、内閣官房報償費は、その取扱責任者である内閣官房長官が、毎年度及びその交代の都度定める執行に当たっての基本的な方針において目的類型を定め、自らの責任と判断の下に、厳正かつ効果的に執行しているところであり、また、会計検査院の検査を受けているところであって、お尋ねのように、新たに、「機密費の目的、支出方法等を法令上明記」し、また、「不適切な取扱いについての罰則規定を設ける必要がある」とは考えていない。」との答弁があった。しかしながら、「取扱責任者である内閣官房長官が、毎年度及びその交代の都度定める執行に当たっての基本的な方針において目的類型を定め、自らの責任と判断の下に、厳正かつ効果的に執行している」という説明に疑義が生じており、報道でも問題として大きく取り上げられている現状を踏まえて、以下質問する。

1 「機密費の目的、支出方法等を法令上明記する」ことで、具体的にどのような問題が生じると考えているのか、岸田政権の見解を伺いたい。

2 「機密費の目的、支出方法等を法令上明記する」必要性は全くないと考えているのか、併せて見解を確認したい。

3 「不適切な取扱いについての罰則規定を設ける必要がある」とは考えていない合理的な理由について詳細を説明されたい。

回答(質問7 の1について)

 お尋ねについては、仮定の御質問であり、お答えすることは困難である。

回答(質問7 の2及び3について)

 お尋ねについては、前回答弁書七についてで述べたとおりである。