偽広告等を利用したSNS型投資詐欺に対する注意喚起の改善に関する質問主意書
令和五年十一月八日の衆議院内閣委員会において、私から「二〇二三年の世界十大リスクとして、ユーラシア・グループは、フェイクニュースの拡散による社会の混乱、こうしたものを挙げています。AIの進化とSNSの普及が重なり、フェイクニュースなどが拡散されやすくなっていると指摘をしており、大半の人々には真偽の見極めができなくなるという懸念を示しています。マサチューセッツ工科大学の調査によると、フェイクニュースは実際にあったファクトニュースより約六倍早く拡散をするそうです。事実とは異なるニュースは目新しく、人々の感情を扇動する内容が多いことが理由だそうです。この調査結果を基に考えると、一度広がったフェイクニュースをファクトニュースで打ち返すことは至難の業です。そうした中、台湾では、インフォデミックによるトイレットペーパーの買占めが起きた際に、台湾の首相自らが、お尻を強調したイラストで、誰でもお尻は一つしかないから、だから大丈夫、だから安心してくださいというエッジを立てたメッセージを立てて事態を収束させたというエピソードは余りにも有名であります。日本においても、政府がホームページに、被害に遭わないように気をつけてくださいねと注意喚起を行うだけでは、そんなものは誰も見に来ませんので、しっかりと国民に訴求をするコンテンツ、これを作っていくことが必要だと思っています。そうした中で、私から注意喚起策のアイデアを一つ、政府の皆さんに提案をさせていただきたいと思います。日本においても、偽広告に利用されている人たちを見ると、成田悠輔さんだったり、孫正義さんだったり、マツコ・デラックスさんだったりとか、田村淳さんだったりとか、非常に有名な著名人ばかりです。彼らも悪用されていることに困っていて、非常に怒っている現状があると思います。私は、こうした方々、むしろ社会的に非常に影響のある方々なので、政府と連携をしていただいて、私たちがこうした広告を配信することや投資を呼びかけることは絶対にありませんというメッセージを動画コンテンツなどでしっかりと配信していただくことができたならば、これは広報啓発としても極めて意味があるんじゃないかということを思っています。それで、私、成田悠輔さんにこのアイデアのことを相談をしてみました。どう思いますかと聞いてみたところ、同調してくださるということでした。そして、これは厚かましくもなんですけれども、具体的に政府からそういう依頼があったときには安価若しくはボランティアでやっていただけませんかとお願いをしたところ、それは前向きに検討してくださるということでありました。こうした見解を踏まえて長官に伺わせていただきますが、政府から偽広告の被害に遭われている著名人に依頼をして、国民に対してしっかりと訴求をするコンテンツを作成して、注意喚起を行っていただきたいと考えますが、いかがでしょうか。」と質問した際に松野博一前官房長官からは、「SNS関連の消費者生活相談件数は近年増加をしています。消費者庁では、これまでもウェブページやSNS等で消費者に対し注意喚起を行ってきたところであり、委員御指摘がありましたとおり、今後も引き続き注意喚起を行っていくことが重要と認識をしています。御指摘の、注意喚起についてどのような手法が効果的かについては、関係省庁において連携して検討してまいります。」という答弁があった。続けて、私から「検討していただけるということなんですけれども、検討されてきた具体策が現状うまくいっているかといえば、そういった状況にないからこそ、被害の相談が増えている現状があるんだと思っています。私の案も、いい案か悪い案かというのは是非整理をしていただければと思うんですけれども、採用していただけるなら進めていただいた方がいいと思いますし、そうでないんだとすれば、じゃ、政府は具体的に何をするのか、こうしたことを求められると思います。もしそれについてのお考えが長官にあれば、そちらもお示しいただきたいと思います。」と質問したところ「委員からもお話をいただきましたとおり、この分野は非常に変化が激しい分野であります。そういった市場変化に伴いまして、どういった方法が消費者の皆様に届く手法であるのか、このことにつきましては、様々な観点から、関係省庁連携をして対応してまいりたいと考えております。」との答弁があった。本件について以下質問する。
質問1
令和六年一月から四月の「SNS型投資詐欺」は、前年同期と比べ、認知件数は約六・七倍(二千五百件)となり、被害額は約八・四倍(三百三十四億三千万円)に急増しているが、令和五年十一月時点で効果的な注意喚起を政府として検討し、実行することができていたならば被害の急増を防ぐことができたと考えるが如何か。被害の急増を防ぐことができたと考える場合は、どのように反省をして現状の対応を行っているのか、また、効果的な注意喚起をすぐに着手していたとしても被害の急増を防ぐことはできなかったと考える場合は、なぜそのように考えているのか、根拠を交えながら詳細について説明されたい。
回答(質問1 及び質問2 について)
「効果的な注意喚起を政府として検討し、実行することができていたならば被害の急増を防ぐことができたと考えるが如何か」及び「政府が連携をして注意喚起を配信していたならば・・・詐欺被害を未然に防ぐことができた可能性があったと考えるが如何か」とのお尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは困難であり、これを前提にしたお尋ねについてもお答えすることは困難である。
質問2
私の提言した政府から偽広告の被害に遭われている著名人に依頼をして、国民に対してしっかりと訴求をするコンテンツを作成して注意喚起を行う案について、少なくとも令和五年十一月時点で対応してくれると言っていた成田悠輔さんと、政府が連携をして注意喚起を配信していたならば、成田悠輔さんを騙る者の投資勧誘などに関する詐欺被害を未然に防ぐことができた可能性があったと考えるが如何か。詐欺被害を未然に防ぐことができた可能性があったと考える場合は、どのように反省をして現状の対応を行っているのか、また、著名人と協力をした注意喚起にすぐに着手していたとしても被害の急増を防ぐことはできなかったと考える場合は、なぜそのように考えているのか、根拠を交えながら詳細について説明されたい。
回答(質問1 及び質問2 について)
「効果的な注意喚起を政府として検討し、実行することができていたならば被害の急増を防ぐことができたと考えるが如何か」及び「政府が連携をして注意喚起を配信していたならば・・・詐欺被害を未然に防ぐことができた可能性があったと考えるが如何か」とのお尋ねについては、仮定の質問であり、お答えすることは困難であり、これを前提にしたお尋ねについてもお答えすることは困難である。
質問3
令和六年六月十八日に示された「国民を詐欺から守るための総合対策(犯罪対策閣僚会議)」に「1 「被害に遭わせない」ための対策(1) SNS型投資・ロマンス詐欺の被害実態に注目した対策ア 健全な投資環境の確保等のための施策(ア) 被害発生状況等に応じた効果的な広報・啓発等? 広報・啓発活動の更なる推進」という項目が定められ、「SNS型投資・ロマンス詐欺においては、金融商品取引法上の無登録事業者である可能性がある者からの勧誘による被害が多数発生しているところ、このような被害を防ぐため、関係省庁が連携した政府広報を実施するほか、事業者団体等との連携を強化しつつ、デジタル空間をはじめ、多種多様な媒体を活用するとともに、ICTリテラシー向上に係る啓発の機会等、あらゆる機会を通じての効果的な広報・啓発を推進する。」と記載されているが現状、私の知る限り、半年以上前から偽広告に関する注意喚起の必要性を国会で指摘されていたにもかかわらず、効果的な注意喚起策を講じていたようには見受けられないが、なぜ政府広報など必要な注意喚起を実施してこなかったのか、見解を伺いたい。
回答(質問3 について)
政府においては、これまで警察庁等の関係省庁のウェブサイト等のほか、政府広報も活用して、御指摘の「SNS型投資・ロマンス詐欺」(以下「SNS型投資・ロマンス詐欺」という。)について注意喚起を行ってきたところである。
質問4
今後は、偽広告等を利用したSNS型投資詐欺に対抗する注意喚起策に関して、言い訳程度のやってる感ではなく、詐欺被害防止に対してしっかりと効果が出る形での注意喚起を政府として本気で実行していただきたいと考えるが如何か。また、「被害に遭わせない」ための対策が掛け声倒れにならないように、SNS型投資詐欺を防止する具体的かつ効果的な広報・啓発策を講じる必要があると考えるが、現状において政府は何をどのように実行する想定であるのか、詳細について示されたい。
回答(質問4 について)
お尋ねについては、政府として、令和六年六月十八日の犯罪対策閣僚会議で決定した「国民を詐欺から守るための総合対策」(以下「総合対策」という。)に基づき、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害を防止するために効果的な広報啓発等を実施していくこととしている。
具体的には、総合対策において、「SNS型投資・ロマンス詐欺においては、金融商品取引法上の無登録事業者である可能性がある者からの勧誘による被害が多数発生しているところ、このような被害を防ぐため、関係省庁が連携した政府広報を実施するほか、事業者団体等との連携を強化しつつ、デジタル空間をはじめ、多種多様な媒体を活用するとともに、ICTリテラシー向上に係る啓発の機会等、あらゆる機会を通じての効果的な広報・啓発を推進する」こととしている。
また、総合対策において、「SNS型投資・ロマンス詐欺の犯行には、SNSやマッチングアプリが数多く利用されている実態があるところ、利用者が不審なアカウントとのやり取りを開始するときなど、SNS型投資・ロマンス詐欺の被害に遭うおそれがある場面等を捉えて、各サービスの利用者に個別に適時適切な注意喚起を行うよう、各事業者に対して働き掛ける」とともに、「利用者からの専用相談窓口を開設するとともに、SNS上の、金融商品取引法に違反する可能性がある広告や投稿等に関し、情報収集等を行うための体制を整備した上で、SNS事業者等と連携し、投資家等に注意を促すための取組等を推進する」こととしている。