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不登校児童生徒の健康診断に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 吉田はるみ
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

小中学校の健康診断は、身長・体重計測のほか、栄養状態や口腔内の病気、心臓疾患、骨格の発達などを検査し、異常があった場合は医療機関の受診を勧めており、児童生徒の疾患等を早期に発見する重要な機会となっている。同健康診断は、指定の学校医が決まった日時に学校を訪れ、集団で行うことが多い。

一方で、二〇二二年度の不登校の小中学生は二十九万九千四十八人で過去最多となっており、小学生は十万五千百十二人(前年度比二万三千六百十四人増)、中学生は十九万三千九百三十六人(前年度比三万四百九十四人増)である。

いじめや心身の不調など、さまざまな理由で不登校になった児童生徒にとって、健康診断のために学校に行き、集団で受診することは非常に困難である。このように学校での健康診断を受けられない児童生徒の対応については、自治体によってさまざまであり、例えば大阪府吹田市では指定の学校医のいる診療所で自分の都合の良いときに学校外で健康診断を受けられる一方、一斉受診日とは別日を設けたとしてもあくまで学校での集団受診しかできない自治体もある。

二〇二四年五月九日配信のNHKニュースでは、健康診断を受診しないことで本来なら発見されるべき病気が見過ごされ、虫歯が長年放置され口腔崩壊となり上下全ての奥歯の神経をとらねばならなくなったり、側弯症が進行し常に腰痛や肩こりに悩まされ長時間座っていられなくなるなど、子どもの一生に影響が出た事例も紹介されている。健康診断の受診方法について自治体ごとに対応が異なることは、大変問題であると考える。

質問1

不登校等を理由に小中学校での健康診断を受けられない児童生徒の数について、政府の把握しているところを示されたい。

回答(質問1 について)

 お尋ねについては、これまで調査を実施しておらず、政府として網羅的に把握していない。

質問2

国として、不登校等を理由に学校での健康診断を受けることのできない児童生徒について、どのような対応を考えているのか。以上例を挙げたように自治体ごとに対応にばらつきがある。国としては自治体ごとのばらつきのある対応を是認するのか。あるいは、今後、いつでも診療所で受診できるよう各自治体で統一した指針を出す予定はあるか。

回答(質問2 について)

 御指摘の「自治体ごとのばらつきのある対応」の意味するところが必ずしも明らかではないが、前段及び中段のお尋ねについては、学校保健安全法(昭和三十三年法律第五十六号)第十三条第一項において、「学校においては、毎学年定期に、児童生徒等・・・の健康診断を行わなければならない」と規定されていることから、健康診断を受けることができなかった児童生徒等に対しても、その状況に応じて、各学校において適切に対応すべきものと考えているところ、令和六年六月四日の参議院文教科学委員会において、盛山文部科学大臣が「文部科学省としては、健康診断を受けることのできなかった児童生徒等については、各学校において個々の事情を踏まえた対応が必要と考えておりますが、各学校における様々な取組事例を収集、周知することなどを通じて、各学校において健康診断が適切に実施されるよう引き続き取り組んでまいります。」と答弁したとおりである。

 また、後段のお尋ねについては、先に述べたとおり、同項を踏まえ、健康診断を受けることができなかった児童生徒等に対しても、その状況に応じて、各学校において適切に対応すべきものと考えていることから、「児童生徒等のプライバシーや心情に配慮した健康診断実施のための環境整備について(通知)」(令和六年一月二十二日付け五初健食第十三号文部科学省初等中等教育局健康教育・食育課長通知)等を通じて、長期欠席等の個別の事情によって健康診断を受けることができなかった児童生徒等の対応について、保護者に事前に周知する等、各都道府県教育委員会等に対して適切に対応するよう促してきたところであり、御指摘の「いつでも診療所で受診できるよう各自治体で統一した指針」を示すことは考えていない。