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日本原子力発電株式会社の原子炉設置許可変更申請における資金調達に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 山崎誠
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

令和五年十二月二十二日「衆議院議員山崎誠君提出日本原子力発電所東海第二発電所設置変更許可申請における経理的基礎の審査と認可に関する質問に対する答弁書」(以下、「答弁書」という。)における、日本原子力発電株式会社(以下、「原電」という。)の原子炉設置許可変更申請おける資金調達についての答弁内容をもとに質問する。

答弁書三の1から3では、「御指摘の「電気事業法の電力料金規定」及び「電力自由化における自由競争の公正取引」の意味するところが必ずしも明らかではないが、事業者間で締結される電気の卸取引に係る契約の内容は、原則として自由であり、御指摘の「設備資金を前払により調達する場合(イメージ図)」に記載された方法に問題があるとは認識していない。」と答弁している。

質問1

原電東海第二発電所の発電用原子炉設置変更(発電用原子炉施設の変更)に係るいわゆる原子炉等規制法第四十三条の三の六第一項第二号(経理的基礎に係る部分に限る)基準への適合について、補足説明資料五十七頁には、東京電力エナジーパートナー株式会社(以下、「東電EP」という。)の「前払」による資金調達のイメージ図がある。

1 原電千七百四十億円の工事の資金調達について、自己資金と借入金(東北電力株式会社(以下、「東北電力」という。)の債務保証)及び東電EPとの電気料金契約に基づく「基本料金のうち当該設備工事の減価償却費部分」を前受(東電EPは前払)して、資金調達することを審査で確認したとの理解で良いか。政府の見解を問う。

2 減価償却費用分を前払することは、原電と東電EPとの電気料金契約上及び電気事業会計規則(以下、「会計規則」という。)上等の会計処理として問題はないとの理解で良いか。政府の見解を示されたい。

3 千七百四十億円工事の資産計上及び減価償却費用の計上は、電気事業会計規則上の処理として、竣工後、再稼働後など、どの時点で計上処理されるのか。政府の見解を示されたい。

4 原電は、千七百四十億円工事の資産計上及び減価償却費計上を何年度から行ったのか。それは千七百四十億円工事の工事金額全額か、償却期間は何年か、定率法か。政府の把握するところを示されたい。

5 イメージ図を見ると、東電EPの原電との電気料金契約に基づく千七百四十億円工事の前払は、原電の減価償却費計上にあわせて行ったとの理解で良いか。政府の把握するところを示されたい。

6 イメージ図を見ると、千七百四十億円工事の竣工後の減価償却費用分を東電EPは前払をしている。竣工前に、竣工後に発生計上される減価償却費用分を前払することは、電力料金契約上及び会計規則上等の処理として問題はないとの理解で良いか。発生計上されていない原電工事千七百四十億円の減価償却費用分を東電EPが前払しているとすれば、電気料金契約上及び会計規則上等の処理として問題はないのか。政府の見解を問う。

7 発生計上されていない原電工事千七百四十億円の減価償却費用分を東電EPが前払しているとすれば、どのようにして減価償却費用分を計算して前払したのか。政府の把握するところを示されたい。

8 東電EPの減価償却費用分の「前払費用」は、竣工後の「基本料金」の千七百四十億円工事の減価償却費分と相殺精算されるとの理解でよいか。政府の見解を示されたい。

9 「前払費用」は、竣工等されるまでは年度で繰越、累積されるのか。政府の把握するところを問う。

10 「前払費用」の年度繰越、累積は、電気料金契約上及び会計規則上等の会計処理で問題はないのか。政府の見解を問う。

11 東電EPの支払った「前払費用」は、東電EPの規制料金原価に反映されているのか。政府の把握するところを示されたい。

12 この東電EP「前払費用」、原電「前受費用」は、資産計上されて繰越処理されている。ということは、この「前払費用」は、費用ではなく「前渡金」「貸付金」等の資金として、会計処理されるべきものではないのか。政府の見解を問う。

13 支払年度には、東電EPの購入電力料金原価として販売電力料金に算入されるのか。されないとすれば、算入されるのはいつか。政府の把握するところを示されたい。

14 原子力規制委員会の「経理的基礎」の審査では、東電EPの発生計上されていない「減価償却費用分」の前払金額を「調達資金」と確認認定している。発生計上されていない「前払費用」を「調達資金」として会計処理することは、電力料金契約上及び会計規則上等の処理として問題はないのか。政府の見解を示されたい。

15 この「前払費用」を「調達資金」として原子力規制委員会は確認、認定しているのだから、会計規則上等の処理としては、実態からすれば「貸付金」になると考えられるのではないか。政府の見解を問う。

回答(質問1 の1について)

 御指摘の「補足説明資料五十七頁」及び「東電EPとの電気料金契約に基づく「基本料金のうち当該設備工事の減価償却費部分」を前受」の意味するところが必ずしも明らかではないが、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律(昭和三十二年法律第百六十六号)第四十三条の三の八第一項の規定に基づき日本原子力発電株式会社(以下「日本原電」という。)から平成二十六年五月二十日付けでなされた発電用原子炉の設置に係る変更の許可を求める申請の審査(以下「本件審査」という。)においては、日本原電が当該申請の内容に係る工事に要する資金を自己資金及び借入金により確保することを確認しており、また、当該借入金の一部は、御指摘の「前払」により確保することとしていると承知している。

回答(質問1 の2について)

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、事業者間で締結される電気の卸取引に係る契約の内容は、原則として自由であり、御指摘の「資金調達のイメージ図」に記載された方法に問題があるとは認識していない。なお、一般論として、日本原電において、電気事業会計規則(昭和四十年通商産業省令第五十七号)等の会計基準に基づき適切に会計処理を行う必要がある。

回答(質問1 の3について)

 お尋ねについては、日本原電の会計処理に関するものであり、政府として、公表されていない詳細については承知していない。なお、一般論として、日本原電において、電気事業会計規則等の会計基準に基づき適切に会計処理を行う必要がある。

回答(質問1 の4について)

 お尋ねについては、日本原電の会計処理に関するものであり、政府として、公表されていない詳細については承知していないが、日本原電が公表している「第六十六期 会社概況書」には、「有形固定資産」の「減価償却の方法」について「主として定率法によっているが、東海発電所及び一九九八年四月一日以降に取得した建物、並びに二〇一六年四月一日以降に取得した建物附属設備及び構築物については定額法を採用している」と記載されているものと承知している。

回答(質問1 の5及び9について)

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、日本原電の会計処理に関するものであり、政府として、公表されていない詳細については承知していない。

回答(質問1 の6について)

 御指摘の「竣工前に、竣工後に発生計上される減価償却費用分を前払すること」及び「発生計上されていない原電工事千七百四十億円の減価償却費用分を東電EPが前払している」ことを含め、事業者間で締結される電気の卸取引に係る契約の内容は、原則として自由であり、御指摘の「資金調達のイメージ図」に記載された方法に問題があるとは認識していない。なお、一般論として、日本原電において、電気事業会計規則等の会計基準に基づき適切に会計処理を行う必要がある。

回答(質問1 の7及び8について)

 お尋ねについては、民間企業間の契約に係るものであり、政府として承知していない。

回答(質問1 の10について)

 御指摘の「年度繰越、累積」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、一般論として、「電気料金契約」は民間企業間の契約に係るものであり、また、日本原電においては、電気事業会計規則等の会計基準に基づき適切に会計処理を行う必要がある。

回答(質問1 の11について)

 東京電力エナジーパートナー株式会社が令和五年五月に経済産業大臣の認可を受けた特定小売供給に係る料金(以下「令和五年五月認可料金」という。)の原価には、一の1についてで述べた工事に要する資金のうち御指摘の「前払」に係るものは含まれていないと承知している。

回答(質問1 の12について)

 お尋ねの意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難であるが、一般論として、日本原電においては、電気事業会計規則等の会計基準に基づき適切に会計処理を行う必要がある。

回答(質問1 の13について)

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、一の11についてで述べたとおり、令和五年五月認可料金の原価には、一の1についてで述べた工事に要する資金のうち御指摘の「前払」に係るものは含まれていないと承知している。また、特定小売供給に係る料金(以下「規制料金」という。)の今後の改定申請の内容及び時期や、規制料金以外の電気料金の設定は、東京電力エナジーパートナー株式会社の経営判断に係るものであり、お尋ねについて政府としてお答えする立場にない。

回答(質問1 の14について)

 御指摘の「「調達資金」として会計処理すること」の具体的に意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難であるが、一般論として、「電気料金契約」は民間企業間の契約に係るものであり、また、日本原電においては、電気事業会計規則等の会計基準に基づき適切に会計処理を行う必要がある。

回答(質問1 の15について)

 お尋ねの意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

質問2

原電東海第二発電所の発電用原子炉設置変更(発電用原子炉施設の変更)に係るいわゆる原子炉等規制法第四十三条の三の六第一項第二号(経理的基礎に係る部分に限る)基準への適合について補足説明資料五十六頁には、東北電力の「債務保証」による借入調達のイメージ図がある。竣工を境に左側に借入(債務保証)、右側に返済(基本料金)がある。

1 この図からは金融機関等から借り入れた調達資金の返済は、竣工後に原電は東北電力の基本料金の減価償却費分から返済するとの理解で良いか。政府の見解を示されたい。

2 前問を踏まえれば、金融機関等からの借入金の返済は竣工後でなければ、できないという理解で良いか。政府の見解を問う。

3 金融機関等からの借入れには、申請資料の工事期間と返済計画に基づいているはずであり、工期の延長は返済計画の延期になってしまう。その場合、「債務保証」している東北電力が借入金の返済をするとの理解でよいか。政府の見解を問う。

4 「債務保証」は、金融機関が貸付において貸付相手の信用力のない場合、第三者の連帯保証として存在するとの理解で良いか。金融機関等の原電への財務状況と信用力等の評価は、東北電力の「債務保証」がなければ貸付はできないとの理解で良いか。政府の見解を示されたい。

5 金融機関等から、前問のような評価を受けている原電は「経理的基礎はない」との理解で良いか。政府の見解を問う。また、具体的にどのような条件があれば、「経理的基礎はある」と判断されるのか。政府の見解を明確に示されたい。

回答(質問2 の1から3までについて)

 御指摘の「竣工後に原電は東北電力の基本料金の減価償却費分から返済する」、「金融機関等からの借入金の返済は竣工後でなければ、できない」及び「工期の延長は返済計画の延期になってしまう。その場合、「債務保証」している東北電力が借入金の返済をする」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、お尋ねについては、民間企業間の契約に係るものであり、政府として承知していない。

回答(質問2 の4について)

 前段のお尋ねについては、御指摘の「「債務保証」は、金融機関が貸付において貸付相手の信用力のない場合、第三者の連帯保証として存在する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、民間企業間の契約に係るものであり、政府として承知していない。

 後段のお尋ねについては、御指摘の「金融機関等の原電への財務状況と信用力等の評価は、東北電力の「債務保証」がなければ貸付はできない」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、民間企業の経営判断に係るものであり、政府としてお答えする立場にない。

回答(質問2 の5について)

 御指摘の「前問のような評価」については、二の4についてで述べたとおり、民間企業の経営判断に係るものであり、それを前提としたお尋ねにお答えすることは困難であるが、本件審査においては、日本原電がその申請内容に係る工事に要する資金を調達できる見込みがあるかどうかを確認し、御指摘の「経理的基礎」に係る許可の基準に適合していることを確認している。