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競馬の配当金に対する一時所得課税に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 鈴木庸介
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

競馬の勝馬投票券(以下「馬券」という。)の的中にかかる課税について、国税庁は、一九七〇年の所得税基本通達三十四−一(一時所得の例示)により、原則として「一時所得」として取り扱ってきた。一時所得は、総収入金額から「その収入を得るために支出した金額で直接要したもの(以下「必要経費」という。)」を控除し、さらにその残額から五十万円の特別控除額を控除した金額であり、その二分の一の金額が課税の対象となるものである。その際「必要経費」とは、的中した組合せの馬券の購入金額のみを指し、同一レースで購入した不的中の組合せは必要経費とはならないのが、国税当局の見解である。

しかしながら、馬券をめぐる環境は、一九七〇年の通達当時とは大きく変化している。

一九七〇年当時の発売馬券は単勝式、複勝式、八枠制枠番号二連勝複式のみであり、一時所得における「必要経費」を、的中した馬券の組合せに限定することに合理性があった。しかしながら、一九九一年の馬番号二連勝複式の導入を皮切りに二〇〇二年に馬番号三連勝複式、馬番号二連勝単式、二〇〇四年に馬番号三連勝単式といった低的中率高配当の馬券が次々導入され、それに伴い競馬愛好家の投票行動も一点又は少数点の購入から、「ながし」「ボックス」「フォーメーション」などの投票法を利用した、一レースに多数の組合せの馬券を購入する方法に変化しており、各種競馬新聞やスポーツ新聞などの競馬愛好家向けメディアにおいてもそのような購入方法を推奨しているのが現状である。

これに関連して、以下質問する。

質問1

上記「必要経費」が的中した組合せの馬券の購入金額のみを指すという認識は正しいか。また、正しいのであれば同一レース内での購入馬券を合算して「必要経費」とできない理由は何か、政府の認識を示されたい。

回答(質問1 から質問4 までについて)

 お尋ねの「上記「必要経費」が的中した組合せの馬券の購入金額のみを指す」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国税庁としては、競馬における勝馬投票の的中者に対する払戻金に係る所得が一時所得に該当する場合において、当該一時所得の金額の計算に当たり、当該一時所得に係る総収入金額から控除することができる勝馬投票券の購入費用は、当該払戻金に係る勝馬投票券の購入費用に限るものとして取り扱っている。

 これは、一時所得の金額については、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十四条第二項の規定において、「その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする」とされているところ、勝馬投票券の購入費用のうち、当該払戻金に係る「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」に該当するものは、当該払戻金に個別的に対応する勝馬投票券の購入費用に限られると考えており、当該払戻金に係る勝馬投票券以外の勝馬投票券の購入費用については、当該払戻金に個別的に対応するものとはいえないため、当該払戻金に係る「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」には該当せず、したがって、当該払戻金に係る「その収入を得るために支出した金額」に該当しないと考えているためである。

 このことは、お尋ねの「これらの投票法」を含め、一度に勝馬に係る複数の組合せの勝馬投票券を購入する方法により勝馬投票券を購入した場合についても同様である。

質問2

上記「必要経費」が的中した組合せの馬券の購入金額のみを指す場合、購入した馬券の合計金額と的中した馬券の配当によって、購入した金額よりも配当金が下回る場合がある。にもかかわらず、税務上は当該レースで収益があったとみなされ、場合により納税義務が発生することになる。この取扱いは一般の競馬愛好家の認識と大きく乖離するが、そのような運用を正当化する根拠は何か、政府の認識を示されたい。

回答(質問1 から質問4 までについて)

 お尋ねの「上記「必要経費」が的中した組合せの馬券の購入金額のみを指す」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国税庁としては、競馬における勝馬投票の的中者に対する払戻金に係る所得が一時所得に該当する場合において、当該一時所得の金額の計算に当たり、当該一時所得に係る総収入金額から控除することができる勝馬投票券の購入費用は、当該払戻金に係る勝馬投票券の購入費用に限るものとして取り扱っている。

 これは、一時所得の金額については、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十四条第二項の規定において、「その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする」とされているところ、勝馬投票券の購入費用のうち、当該払戻金に係る「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」に該当するものは、当該払戻金に個別的に対応する勝馬投票券の購入費用に限られると考えており、当該払戻金に係る勝馬投票券以外の勝馬投票券の購入費用については、当該払戻金に個別的に対応するものとはいえないため、当該払戻金に係る「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」には該当せず、したがって、当該払戻金に係る「その収入を得るために支出した金額」に該当しないと考えているためである。

 このことは、お尋ねの「これらの投票法」を含め、一度に勝馬に係る複数の組合せの勝馬投票券を購入する方法により勝馬投票券を購入した場合についても同様である。

質問3

日本中央競馬会では一九九三年に「ながし」「ボックス」投票法を、二〇〇四年に「フォーメーション」投票法を導入している。これらの投票法は原則として的中した一点以外全て不的中となることを前提として多数の組合せを一枚のマークカードで購入する投票法であるが、日本中央競馬会が不的中の組合せが含まれることを前提とした投票法を用意しているにもかかわらず同一レース内での購入馬券を合算して「必要経費」とできない理由は何か、政府の認識を示されたい。

回答(質問1 から質問4 までについて)

 お尋ねの「上記「必要経費」が的中した組合せの馬券の購入金額のみを指す」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国税庁としては、競馬における勝馬投票の的中者に対する払戻金に係る所得が一時所得に該当する場合において、当該一時所得の金額の計算に当たり、当該一時所得に係る総収入金額から控除することができる勝馬投票券の購入費用は、当該払戻金に係る勝馬投票券の購入費用に限るものとして取り扱っている。

 これは、一時所得の金額については、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十四条第二項の規定において、「その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする」とされているところ、勝馬投票券の購入費用のうち、当該払戻金に係る「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」に該当するものは、当該払戻金に個別的に対応する勝馬投票券の購入費用に限られると考えており、当該払戻金に係る勝馬投票券以外の勝馬投票券の購入費用については、当該払戻金に個別的に対応するものとはいえないため、当該払戻金に係る「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」には該当せず、したがって、当該払戻金に係る「その収入を得るために支出した金額」に該当しないと考えているためである。

 このことは、お尋ねの「これらの投票法」を含め、一度に勝馬に係る複数の組合せの勝馬投票券を購入する方法により勝馬投票券を購入した場合についても同様である。

質問4

競馬場や場外馬券場では馬券が購入者に紐づいていないため、不的中馬券の譲渡を受けるなどのケースにより、各々の馬券の購入者を正確に把握することは困難である。しかしながら、日本中央競馬会では電話若しくはインターネットを利用した馬券の購入システムを構築しており、これらのシステムを利用することにより各購入者の投票履歴の追跡が可能である。これにより、各利用者のレース毎の購入金額と配当を正確に把握できるため、同一レース内での購入馬券を合算して「必要経費」と収益を算出し、適正な課税につなげることができると考えられるが、そのような取扱いをしない理由は何か。政府の認識を示されたい。

回答(質問1 から質問4 までについて)

 お尋ねの「上記「必要経費」が的中した組合せの馬券の購入金額のみを指す」の意味するところが必ずしも明らかではないが、国税庁としては、競馬における勝馬投票の的中者に対する払戻金に係る所得が一時所得に該当する場合において、当該一時所得の金額の計算に当たり、当該一時所得に係る総収入金額から控除することができる勝馬投票券の購入費用は、当該払戻金に係る勝馬投票券の購入費用に限るものとして取り扱っている。

 これは、一時所得の金額については、所得税法(昭和四十年法律第三十三号)第三十四条第二項の規定において、「その年中の一時所得に係る総収入金額からその収入を得るために支出した金額(その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額に限る。)の合計額を控除し、その残額から一時所得の特別控除額を控除した金額とする」とされているところ、勝馬投票券の購入費用のうち、当該払戻金に係る「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」に該当するものは、当該払戻金に個別的に対応する勝馬投票券の購入費用に限られると考えており、当該払戻金に係る勝馬投票券以外の勝馬投票券の購入費用については、当該払戻金に個別的に対応するものとはいえないため、当該払戻金に係る「その収入を生じた行為をするため、又はその収入を生じた原因の発生に伴い直接要した金額」には該当せず、したがって、当該払戻金に係る「その収入を得るために支出した金額」に該当しないと考えているためである。

 このことは、お尋ねの「これらの投票法」を含め、一度に勝馬に係る複数の組合せの勝馬投票券を購入する方法により勝馬投票券を購入した場合についても同様である。