景気についての政府の認識と景気対策に関する質問主意書
内閣府が公表した政府統計によれば、我が国のGDPは、二〇二三年第三・四半期がマイナス〇・九%であり、第四・四半期の〇・一%を挟んで二〇二四年第一・四半期は再びマイナス〇・五%(二次速報値)となった。すなわち、二〇二三年七月から二〇二四年三月までの直近九カ月間のGDP成長率はトータルでマイナスである。
二〇二四年第一・四半期のGDP成長率の内訳は、民間最終消費はマイナス〇・七%であり、特に民間在庫変動はプラス〇・三%であることから、景気が悪化の方向と分析できる。
政府最終消費支出〇・二%であり、公的固定資本形成三・〇%であることから、政府部門で景気を下支えしたと分析できる。
輸出は円安にもかかわらずマイナス五・一%と不振である。輸入は国内消費の冷え込みの影響からマイナス三・三%となっているが、輸入がマイナスであることでかろうじてGDPを押し上げている。
以上のとおり、第一・四半期のGDP成長率の内訳をみれば数値だけでなく内容が悪いと分析できるところ、以下質問する。
質問1
内閣府が二〇二四年五月二十七日に発表した月例経済報告において「景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している。」と記載されているが、直近九カ月のトータルのGDP成長率がマイナスという事実を踏まえれば、景気は回復ではなく後退であると認識することが妥当と考えるところ、政府の景気についての認識は如何に。
回答(質問1 及び質問2 について)
月例経済報告においては、実質GDP成長率だけではなく、様々な経済指標の動向やその背景にある経済環境、企業の景況感等、それぞれの時点で入手可能な情報を総合的に勘案して、景気の基調を判断しているところである。その上で、政府としては、令和六年五月の月例経済報告においては、御指摘のように賃金の伸びが物価上昇に追いついておらず個人消費は力強さを欠いている一方、企業部門については、上場企業の決算において経常利益の合計額が過去最高を更新するなど、好調さが続いていることなどを総合的に勘案した結果、「景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している」と判断したところである。
質問2
厚生労働省が二〇二四年六月五日に発表した四月分の毎月勤労統計調査によれば、前年同月比の実質賃金はマイナス〇・七%であった。これで実質賃金は二十五カ月連続でマイナスである。また、二〇二三年の実質賃金はマイナス二・五%であった。国内消費の不振は賃上げが物価高に追い付いていないことが原因であると考えるが、政府の見解は如何に。
回答(質問1 及び質問2 について)
月例経済報告においては、実質GDP成長率だけではなく、様々な経済指標の動向やその背景にある経済環境、企業の景況感等、それぞれの時点で入手可能な情報を総合的に勘案して、景気の基調を判断しているところである。その上で、政府としては、令和六年五月の月例経済報告においては、御指摘のように賃金の伸びが物価上昇に追いついておらず個人消費は力強さを欠いている一方、企業部門については、上場企業の決算において経常利益の合計額が過去最高を更新するなど、好調さが続いていることなどを総合的に勘案した結果、「景気は、このところ足踏みもみられるが、緩やかに回復している」と判断したところである。
質問3
日本銀行が二〇二四年五月十四日に発表した企業物価指数によれば、二〇二〇年の水準と比較して契約ベースでの輸入物価指数の上昇は約三割増であるのに対して、円ベースでの輸入物価指数は約七割増と高止まりしている。すなわち、二〇二〇年の水準に比較してアメリカ・ドルに対して日本円は約四割も安くなっていることが輸入物価を押し上げている要因と考えられる。すなわち、物価高の主な原因の一つである悪い円安をくい止めることが景気対策として最優先課題と考えるが、政府の見解は如何に。
回答(質問3 について)
政府としては為替レートは経済のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが重要であり、過度の変動は望ましくないと考えているが、為替政策について具体的に言及することは、外国為替市場に不測の影響を与えるおそれがあるため、お尋ねについてお答えすることは差し控えたい。