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高濃度PCB廃棄物の処理に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 屋良朝博
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

令和六年六月四日に受領した質問主意書に対する答弁書(内閣衆質二一三第一〇一号)を踏まえ、PCB廃棄物の処理に関し、以下の事項について答えられたい。

質問1

「ポリ塩化ビフェニル廃棄物」の定義について

1 ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(以下「PCB特措法」という。)第二条第一項及び第二項において、ポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)及び高濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「高濃度PCB廃棄物」という。)の定義が定められているが、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下「廃棄物処理法」という。)第二条第一項を踏まえ、PCB廃棄物又は高濃度PCB廃棄物の発生の始期は、PCB特措法第二条第三項及び第四項で定めるポリ塩化ビフェニル使用製品(以下「PCB使用製品」という。)又は高濃度ポリ塩化ビフェニル使用製品(以下「高濃度PCB使用製品」という。)の占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となった時点と考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

2 高濃度PCB使用製品は、PCB特措法第十八条第三項及び第二十条第二項において同法第十条で定める処分期間内又は特例処分期限日までに廃棄されなかった高濃度PCB使用製品について高濃度PCB廃棄物とみなす規定を置いている。そこで、廃棄物の該当性の判断において、全ての高濃度PCB使用製品は、処分期間又は特例処分期限日を経過した時点において、高濃度PCB廃棄物と判断されると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

回答(質問1 の1について)

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和四十五年法律第百三十七号)第二条第一項に規定する廃棄物は、占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となった物であり、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成十三年法律第六十五号。以下「特別措置法」という。)第二条第三項に規定するポリ塩化ビフェニル使用製品(以下「PCB使用製品」という。)又は同条第四項に規定する高濃度ポリ塩化ビフェニル使用製品(以下「高濃度PCB使用製品」という。)が同条第一項に規定するポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「PCB廃棄物」という。)又は同条第二項に規定する高濃度ポリ塩化ビフェニル廃棄物(以下「高濃度PCB廃棄物」という。)になるのは、PCB使用製品又は高濃度PCB使用製品を占有者が自ら利用し、又は他人に有償で譲渡することができないために不要となった時である。

回答(質問1 の2について)

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、特別措置法第十条第一項に規定する処分期間(以下「処分期間」という。)内に、又は同条第三項に規定する特例処分期限日(以下「特例処分期限日」という。)までに廃棄されなかった高濃度PCB使用製品は、特別措置法第十八条第三項又は第二十条第二項の規定により、高濃度PCB廃棄物とみなされる。

質問2

高濃度PCB使用製品が設置された建物について

1 物件引渡し後に買主が建物を解体撤去することが前提の不動産取引の場合、建物に付帯する設備である高濃度PCB使用製品の処分責任は売主側にあるか、買主側にあるか明らかにされたい。また、不動産取引後の建物内にPCB特措法における届出がなされていない高濃度PCB廃棄物が確認された場合の処分責任の所在について明らかにされたい。

2 沖縄県内の建物において設置されている高濃度PCB使用製品については、PCB特措法第十条の処分期間又は特例処分期限日を経過した令和三年四月一日又は令和四年四月一日以降、その届出の有無又は使用若しくは保管状況にかかわらず、同法第十八条第三項及び第二十条第二項の規定により高濃度PCB廃棄物であると判断されると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

3 PCB特措法第十七条においては、PCB廃棄物の譲渡し及び譲受けの制限が規定されている。同法第十条の処分期間又は特例処分期限日の経過後である令和三年四月一日又は令和四年四月一日以降、沖縄県内における高濃度PCB使用製品が設置されている建物の所有権の移転においては、同法第十八条第三項及び第二十条第二項の規定により高濃度PCB使用製品が高濃度PCB廃棄物であると判断されるため、建物の所有権とは別に同法第十七条の規定により高濃度PCB廃棄物である高濃度PCB使用製品の所有権の移転は制限を受けると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

回答(質問2 の1について)

 高濃度PCB廃棄物の処分については、特別措置法第十条第一項により、特別措置法第二条第五項に規定する保管事業者(以下「保管事業者」という。)がその責任を負うこととなるが、保管事業者をどのように特定するかについては、契約内容等を踏まえる必要があるため、お尋ねについて一概にお答えすることは困難である。

回答(質問2 の2について)

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、沖縄県内において、処分期間の末日である平成三十年三月三十一日若しくは令和三年三月三十一日又は特例処分期限日である平成三十一年三月三十一日若しくは令和四年三月三十一日までに廃棄されなかった高濃度PCB使用製品は、特別措置法第十八条第三項又は第二十条第二項の規定により、高濃度PCB廃棄物とみなされる。

回答(質問2 の3について)

 お尋ねの意味するところが必ずしも明らかではないが、特別措置法第十八条第三項又は第二十条第二項の規定により高濃度PCB廃棄物とみなされる高濃度PCB使用製品が、建物の所有権の移転前に当該建物内に存在していた場合には、特別措置法第十七条の規定により、その譲渡し及び譲受けが制限される。

質問3

在日米軍基地から排出された高濃度PCB廃棄物の処理について

1 政府は、在日米軍から引き渡された建物に設置されている高濃度PCB使用製品については、建物として引き渡され、防衛省が工事を行うことによってPCB廃棄物が結果として発生したとしている。しかし、PCB特措法第十条の処分期間又は特例処分期限日を経過した高濃度PCB使用製品は、同法第十八条第三項及び第二十条第二項の規定により、高濃度PCB廃棄物と判断される。そのため、防衛省及び在日米軍の間で廃棄物処理法など関係法令によって建物本体の譲受けがなされたとしても、建物に設置されている処分期間又は特例処分期限日を経過した高濃度PCB使用製品は、PCB特措法の規定により高濃度PCB廃棄物であると判断されることからPCB特措法第十七条の規定に基づき、譲渡し及び譲受けの制限を受けるとともに、同法第三条及び第十条の規定により前の所有者である在日米軍が一義的にその処分責任を負うと解するのが適当であると考えるが、政府の見解を明らかにされたい。

2 これまで、建物が在日米軍から防衛省に引き渡された際に防衛省は、電気事業法における高濃度PCB含有電気工作物に係る新たに判明した場合若しくは譲受けに関する届出又はPCB特措法における高濃度PCB使用製品若しくは高濃度PCB廃棄物の保管若しくは譲受けに関する届出を行っているか明らかにされたい。

3 政府は、PCBに関するパンフレットなどにおいて、建物の売買契約を行う前に、PCB使用製品の設置の有無の確認や電気事業法及びPCB特措法に従い、所要の手続を行うことを国民に求めている。それにもかかわらず、防衛省が在日米軍から建物を引き受ける際にPCB使用製品の有無を確認しないことは矛盾していると考えるが、政府の見解を伺いたい。

4 平成十八年七月二十一日、投資法人がPCB付物件の取得の際に前所有者に届出義務や処分責任があるとするPCB特措法の規定を確認せず、投資法人が管理するものとして届出を行ったため、金融庁から行政処分を受けた。政府はこの金融庁の処分においてPCB特措法の義務や責任に関する判断を示しながら、他方で在日米軍から建物を防衛省に引き受ける際にはPCB使用製品の有無を確認せず、その処分責任を在日米軍に求めないとの見解は論理が破綻していると考えるが、政府の見解を伺いたい。

回答(質問3 の1について)

 防衛省は、在日米軍から施設及び区域が返還された場合の原状回復措置、提供施設整備及び米軍再編に係る事業等において、在日米軍から建物の引渡しを受けるが、引渡しの時点において、御指摘の「処分期間又は特例処分期限日を経過した高濃度PCB使用製品」の有無について、特別措置法上確認は義務付けられておらず、また、建物の引渡しに際し、在日米軍及び同省の間においてPCB廃棄物の有無を確認することとはされていないことから、確認を行っておらず、その後、引渡しを受けた建物の解体に伴ってPCB廃棄物を確認した時点で、同省が保管事業者として処理についての責任を負い、特別措置法第十七条に基づきPCB廃棄物の譲渡し及び譲受けが制限されると認識していることから、御指摘のように「PCB特措法第十七条の規定に基づき、譲渡し及び譲受けの制限を受けるとともに、同法第三条及び第十条の規定により前の所有者である在日米軍が一義的にその処分責任を負うと解するのが適当である」とは考えていない。

回答(質問3 の2について)

 御指摘の「建物」については、電気関係報告規則(昭和四十年通商産業省令第五十四号)第一条第二項第十三号に規定する高濃度ポリ塩化ビフェニル含有電気工作物、高濃度PCB使用製品又は高濃度PCB廃棄物に該当しないものと認識しており、御指摘の「建物が在日米軍から防衛省に引き渡された際に」、「届出」は行っていない。

回答(質問3 の3について)

 御指摘の「パンフレット」は、「建物の売買契約」を想定して、「建物の売買契約を行う前に、PCB使用製品の設置の有無の確認や電気事業法及びPCB特措法に従い、所要の手続を行うこと」について周知しているところであるが、「防衛省が在日米軍から建物を引き受ける」ことは、「建物の売買契約」には該当しないことから、「矛盾している」との御指摘は必ずしも当たらないと考えている。

回答(質問3 の4について)

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、御指摘の「行政処分」については、「PCB特措法の義務や責任に関する判断」を示したものではなく、証券取引法等の一部を改正する法律(平成十八年法律第六十五号)による改正前の投資信託及び投資法人に関する法律(昭和二十六年法律第百九十八号)(以下「旧投信法」という。)第二条第十八項に規定する投資信託委託業者において、特別措置法の規定を理解しないまま不動産の取得を行うなど、不動産の取得時の審査が適切に行われていなかったことが旧投信法第三十四条の二第二項に規定する善管注意義務に違反するとして、行われたものであり、また、御指摘の「在日米軍から建物を防衛省に引き受ける際には」、防衛省はPCB使用製品の有無について確認を行っていないが、その後、引渡しを受けた建物の解体に伴ってPCB廃棄物を確認した時点で、同省において特別措置法に定める手続をとっており、「論理が破綻している」との御指摘は当たらないと考えている。