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冷凍食品の個別義務表示に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 大西健介
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

去る五月二十九日、消費者庁食品表示懇談会の「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」が開かれ、冷凍食品の個別義務表示を廃止することで合意した。これに関して以下、政府の見解を明らかにされたい。

質問1

食品表示懇談会の取りまとめでは、個別品目ごとのルール見直しに当たっては、「事業者、消費者等の意見を聞いた上で、丁寧な議論を進める」としていたにもかかわらず、消費者への意識調査やヒアリング、市販されている冷凍食品の衣の率などの実態調査もなく、事業者からのヒアリングのみで、分科会での議論はわずか二十分という短時間で廃止を決めたことは、およそ丁寧な議論とは言えず、決定過程に瑕疵があるのではないか。

回答(質問1 について)

 食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号)においては、一般用加工食品について、食品関連事業者が販売する際(設備を設けて飲食させる場合を除く。以下同じ。)に横断的義務表示として表示しなければならない事項等(以下「横断的義務表示等」という。)を定めるとともに、一般用加工食品のうち調理冷凍食品を含む一定の食品については、横断的義務表示等に加え、個別の品目ごとに、食品関連事業者が販売する際に個別的義務表示として表示しなければならない事項等(以下「個別的義務表示等」という。)を定めているところである。

 これに関し、令和六年三月の「令和五年度食品表示懇談会取りまとめ」(以下「取りまとめ」という。)においては、「個別品目ごとの表示ルールについては、国際整合性や消費者にとっての分かりやすさという観点も踏まえ、横断的なルールに寄せていく方向で見直す必要があるとの意見が多く挙がった」こと等を踏まえ、「今後の食品表示が目指すべき大枠の方向性」において、「横断的な基準に合わせる方向で見直すことを基本としつつ」、検討を進めることとされたところである。

 こうした点を踏まえ、今般、公益社団法人全国消費生活相談員協会等の消費者団体に属する者も委員として含まれる「個別品目ごとの表示ルール見直し分科会」において、一般社団法人日本冷凍食品協会からのヒアリング等を行った上で、同分科会においては、調理冷凍食品に係る個別的義務表示等を廃止するとの判断に至ったものであり、「決定過程に瑕疵がある」との御指摘は当たらないものと考えている。

質問2

昨年の「経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)二〇二三」では、「食品表示基準の国際基準への整合化を推進する」とされており、コーデックスは、商品名や文字、図等で強調されている原材料の製品中の使用割合(%)を併せて表示するとしているが、冷凍食品の個別義務表示を廃止することは国際基準との整合化に逆行するのではないか。

回答(質問2 について)

 国際連合食糧農業機関・世界保健機関合同食品規格計画の実施機関であるコーデックス委員会における食品に関する国際規格においては、御指摘のように「商品名や文字、図等で強調されている原材料の製品中の使用割合(%)を併せて表示する」こととされているところ、調理冷凍食品に係る個別的義務表示等には、このような内容は含まれておらず、「廃止することは国際基準との整合化に逆行する」との御指摘は当たらないと考えている。

質問3

日本冷凍食品協会等の事業者は、個別表示義務の廃止を求める理由として、「表示作成担当者が個別表示と横断的な表示ルールの両方を熟知する必要があるため」負担が大きいことを挙げているが、「大変だからやりたくない」というのは理由にならず、少なくとも、消費者の商品選択に資する表示に反するのではないか。

回答(質問3 について)

 取りまとめにおいては、「合理的な理由のない複雑なルールによって事業者にも負担を課していないかという視点から検討する」とされているほか、「消費者にとっての分かりやすさという観点も踏まえ、横断的なルールに寄せていく方向で見直す必要があるとの意見が多く挙がった」とされているところであり、「理由にならず、少なくとも、消費者の商品選択に資する表示に反する」との御指摘は当たらないと考えている。

質問4

個別表示義務が廃止されれば、カニが八%未満の冷凍カニコロッケやエビが十五%未満の冷凍エビシュウマイなど粗悪な冷凍食品が出回るおそれがあるのではないか。

回答(質問4 について)

 お尋ねの「粗悪な冷凍食品」の意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として、どのような食品を製造するかについては、消費者の嗜好等を踏まえ、事業者が判断するものであるところ、食品表示法(平成二十五年法律第七十号)等に違反する事実が認められた場合には厳正に対処してまいりたい。