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岸田総理が外相時に行った韓国政府との慰安婦問題に関する合意の形骸化に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 井坂信彦
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

二〇一五年十二月二十八日、当時の岸田文雄外務大臣は、日韓外相会談を行い、両外相による共同記者発表が行われた。この記者発表により、日韓両国間の慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決」することが確認された。しかし、その後、韓国政府は朴槿恵大統領から文在寅大統領を経て尹錫悦大統領へと政権が交代している。その間、慰安婦問題は解決したと言えるのか、日本政府の見解を問う。

質問1

二〇一五年十二月二十八日の日韓外相会談では、岸田文雄首相(当時外相)自らが残した実績として慰安婦問題に関する日韓合意が外務省WEBサイトの日韓関係の項目で紹介されている。このときの日韓合意では、慰安婦問題について「この問題が最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」と岸田文雄首相は発言しており、文書としても残されている。このときの発言のとおり、日韓の慰安婦問題は最終的かつ不可逆的に解決されたと認識しているか。あるいは解決したとは言い切れない懸案が残っているのか。日韓合意の当事者であった、岸田首相の見解を伺う。

回答(質問1 について)

 お尋ねについては、平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談で確認された慰安婦問題に関する合意において、慰安婦問題が「今回の発表により・・・最終的かつ不可逆的に解決されること」と確認したとおりである。

質問2

韓国では二〇二二年五月十日、尹錫悦大統領が誕生している。外務省WEBサイトの大韓民国過去の要人往来・会談のページによると、尹大統領と岸田首相はこれまで七回以上の首脳会談を行っており文在寅前大統領と比較して顕著に緊密な関係を築いている。その尹大統領との会談の中で、慰安婦問題について、また二〇一五年の日韓合意について議題に上がったことはあったか。今後、尹大統領に対して、慰安婦問題について岸田首相が直接、尹大統領に働きかけていくべきと考えるが、日韓合意の当事者であった岸田首相の見解を伺う。

回答(質問2 及び質問3 について)

 お尋ねの点を含め、韓国政府とは平素から様々なやり取りを行ってきているが、その詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり、差し控えたい。また、我が国は、平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談で確認された慰安婦問題に関する合意の下で約束した措置を全て実施してきており、引き続き、韓国側に同合意の実施を求めていく考えである。

質問3

問二と同様に、韓国が尹大統領になって以降、林芳正外務大臣(当時)及び上川陽子外務大臣による日韓外相会談において、慰安婦問題が議題に上がったことはあったか。今後の日韓外相会談において、引き続き韓国外相に対して慰安婦問題について働きかけていくべきと考えるが、日本政府の見解を伺う。

回答(質問2 及び質問3 について)

 お尋ねの点を含め、韓国政府とは平素から様々なやり取りを行ってきているが、その詳細について明らかにすることは、相手国との関係もあり、差し控えたい。また、我が国は、平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談で確認された慰安婦問題に関する合意の下で約束した措置を全て実施してきており、引き続き、韓国側に同合意の実施を求めていく考えである。

質問4

二〇一五年の日韓外相会談では、韓国政府が元慰安婦の方々の支援を目的とした財団を設立し、日本政府が十億円を拠出した。しかし、二〇一八年十一月、韓国政府は財団を解散することを発表した。二〇一六年一月十五日、井坂信彦提出の「日韓外相会談で合意した財団の設立と運営に関する質問主意書」に対し、この十億円について「日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業を行うものである」と政府は答弁していた。このときの十億円の使途と残額、及び残額の取扱いの現状はどのようになっているのか。政府の把握するところを明らかにされたい。その上でこの現状に対して日本政府の見解を伺う。

回答(質問4 について)

 お尋ねの「残額の取扱い」を含め、お尋ねの「十億円の使途」については、我が国として、先の答弁書(平成二十八年一月二十六日内閣衆質一九〇第四九号)一及び二についてで述べたとおり、日韓両政府が協力し、全ての元慰安婦の方々の名誉と尊厳の回復、心の傷の癒やしのための事業に用いるとの認識である。また、韓国側から、御指摘の「財団」については、その解散手続が完了しておらず、お尋ねの「残額」については、令和五年十二月時点で、約五十九億ウォンであるとの説明を受けている。いずれにせよ、我が国としては、平成二十七年十二月二十八日の日韓外相会談で確認された慰安婦問題に関する合意の下で約束した措置を全て実施してきており、引き続き、韓国側に同合意の実施を求めていく考えである。