定額減税に係る源泉徴収義務者の事務負担に関する質問主意書
今月から始まった所得税等の定額減税に関しては、昨年十月二十三日の所信表明演説において岸田内閣総理大臣が表明して以降、国会質疑でも度々採り上げられ、減税の実務に携わる地方公共団体や源泉徴収義務者の事務負担増や経費増についても、多くの議員から問題が指摘されてきたところである。このことについて、以下、質問する。
質問1
源泉徴収義務者の事務負担増に対する対策について、政府は、専用サイトにおけるパンフレットやQ&Aの公開、コールセンターによる相談、説明会の開催、窓口での対応を行っていると説明している。しかしながら、これらはいずれも、実務上必要な減税額の控除方法の説明であって、これらによって実際の事務負担が軽減するということはない。そのため、民間の源泉徴収義務者からは、事務負担の重さを訴える声が上がっている。
1 定額減税に係る各法律、予算の成立以降の、政府に寄せられた民間企業等からの定額減税事務に関する苦情等の状況を明らかにされたい。
2 1の苦情等に対し、政府はどのような対策を講じたか。具体的に教示されたい。
回答(質問1 について)
お尋ねについては、お尋ねの「苦情等」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではなく、また、民間企業等から政府に対するお尋ねの「定額減税事務」に関する意見等を網羅的に把握しているわけではないが、例えば、税務署における源泉徴収義務者からの今般の定額減税に関する相談において、今般の定額減税に関する事務の負担感に関する言及がある場合もあると承知している。政府としては、こうした事例を含め、源泉徴収義務者からの相談等に対して引き続き丁寧な対応を行ってまいりたい。
質問2
源泉徴収義務者の事務負担増に伴って、経費の負担増も発生している。この間政府は、民間の源泉徴収義務者における定額減税事務のためのシステム改修費用については、例年の税制改正に伴うシステム改修と併せて改修されること、及び、市販ソフト販売業者の開発コストに吸収される場合もあることから、特段の支援措置は考えていないとの説明をしている。しかしながら、利用しているシステムの契約内容によっては、追加の費用負担が生じている可能性も否定できないと思われる。
1 民間の源泉徴収義務者の、定額減税に係るシステム改修費用の負担増について、政府は実態を把握しているか。把握していれば、その状況を示されたい。
2 定額減税の実務が開始された状況を踏まえ、現時点で、民間の源泉徴収義務者におけるシステム改修費用支援策を検討する考えはないか。
回答(質問2 の1について)
お尋ねについては、令和六年二月二十八日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣が「今回、定額減税の実施が決まってから、業界団体を通じたものも含めまして、五十社を超える税務関連のソフトウェア開発会社に対してヒアリングを実施いたしました。ヒアリングした全てのソフトウェア開発会社において、定額減税に対応した改修を行っていただける予定であり、現在主流となっておりますサブスクリプション契約の場合には、利用者である源泉徴収義務者には追加的な金銭コストは生じないことが一般的である、そのように伺っているところでございます。」と答弁したとおりである。
回答(質問2 の2について)
お尋ねについては、令和六年二月二十八日の衆議院財務金融委員会において、鈴木財務大臣が「今回の定額減税につきましては、源泉徴収義務者のシステム改修が必要な場合があることは事実でありますが、毎年の税制改正への対応については、源泉徴収義務者を含め、各納税者の皆様において御対応いただいており、今回も納税者の皆様において御対応いただくということにしております。」と答弁したとおりであり、現在においてもこの考えに変わりはない。