HPVセルフキットの活用支援に関する質問主意書
質問
「新たなステージに入ったがん検診の総合支援事業」として、市区町村が、子宮頸がん検診・乳がん検診のクーポン券や検診手帳の配布等を実施することを厚生労働省は支援しているが、その受診率は上がっておらず、地域ごとにばらつきがある。受診率が上がらない理由として、忙しくて検査機関まで行けない、産婦人科の受診に躊躇がある、医師も含めて対面で他人に知られたくないなどが、すでにわかっている。
そこで宮城県石巻市、兵庫県姫路市などではHPV採取のためのセルフキット(以下、「HPVセルフキット」という。)を希望する市民に配布し、受診率向上に繋げる努力をしている。自己採取は、医師の採取に比べ信頼性に欠けるという指摘も一部にあるが、衆議院が毎年行っている議員向けの健康診断においても、希望者にHPVセルフキットが配布されている。オランダでは、海外移住をした外国人が住民登録後、すぐにHPVセルフキットが自宅に届く。検査手段が多ければ、受診率は向上するはずである。
子宮頸がん検診の受診率向上のため、自宅で自分でできるHPVセルフキットを配布する自治体への財政的支援を検討するべきではないか。
回答
子宮頸がん検診におけるHPV検査(令和二年に国立研究開発法人国立がん研究センターの社会と健康研究センターが作成した「有効性評価に基づく子宮頸がん検診ガイドライン更新版」における「HPV検査単独法」及び「細胞診・HPV検査併用法」をいう。)については、同ガイドラインにおいて、「検体は医師採取を原則とする」とされており、また、「HPV検査単独法の自己採取法については、国内でのエビデンスが不足しており、受診率向上につながるか、精密検査以降のプロセスにつながるかなどのfeasibility研究が必要である」とされていることから、現時点では、お尋ねのような「自宅で自分でできるHPVセルフキットを配布する自治体への財政的支援」を行うことは考えていない。いずれにせよ、政府としては、引き続き、御指摘の「子宮頸がん検診の受診率向上」のための各種取組を進めてまいりたい。