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放課後児童クラブの位置付け及びさらなる環境整備・処遇改善に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 酒井なつみ
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

放課後児童クラブについては、受け皿の整備だけでなく、質の向上及び職員の労働環境改善による、職員・保護者・子どもが安心して過ごせる環境整備が必要だと考える。また、開所時間について、放課後児童クラブは、学校の授業のある平日は一日につき三時間以上、授業の休業日は一日につき八時間以上を原則とするよう定められている(基準第十八条及び運営指針第四章三)が、保護者がフルタイムで勤務する場合の通勤時間が考慮されておらず、認可保育所の保育標準時間と比較して預かり時間が短く、子育てと仕事の両立支援に対するニーズは増大している。また、処遇改善のための予算措置はなされているものの、不十分であると考え、以下質問する。

質問1

放課後児童支援員の社会的地位向上を図り、また、児童福祉法第七条に学童保育施設を明記することにより、保育所等と同等の制度を創設するべきではないかと考えるが、見解を示されたい。

回答(質問1 について)

 御指摘の「保育所等と同等の制度を創設」の意味するところが明らかではないため、お尋ねについてお答えすることは困難である。なお、御指摘の「社会的地位向上」の意味するところが必ずしも明らかではないが、放課後児童支援員(放課後児童健全育成事業の設備及び運営に関する基準(平成二十六年厚生労働省令第六十三号。以下「設備運営基準」という。)第十条に規定する放課後児童支援員をいう。以下同じ。)については、その業務に見合った処遇が確保されるよう、児童福祉法(昭和二十二年法律第百六十四号)第六条の三第二項に規定する放課後児童健全育成事業に係る市町村(特別区を含む。以下同じ。)が行う処遇改善の取組に対する財政支援等を行っているところであり、また、御指摘の「学童保育施設」については、当該事業を行う場所として、設備運営基準第五条第五項において放課後児童健全育成事業所と規定しているところである。

質問2

開所時間(原則)について学校の授業のある日は一日につき五時間以上、休業日は一日につき十一時間以上と政府が定めることに関して、見解を答えられたい。

回答(質問2 について)

 放課後児童健全育成事業所の開所時間については、社会保障審議会児童部会放課後児童クラブの基準に関する専門委員会報告書(平成二十五年十二月二十五日)において、「現状の実態や国庫補助基準等を参考に、平日につき一日三時間以上、休日につき一日八時間以上を原則とし、地域の実情や保護者の就労状況等を考慮して、事業を行う者が定めるものとすることが適当」とされたことを踏まえ、設備運営基準において、小学校の授業の休業日以外の日については三時間以上、小学校の授業の休業日については八時間以上を原則として、その地方における児童の保護者の労働時間、小学校の授業の終了の時刻その他の状況等を考慮して、当該放課後児童健全育成事業所ごとに定めることとしているところ、こども家庭庁において令和五年に調査した「放課後児童健全育成事業(放課後児童クラブ)の実施状況」によると、現時点においても同報告書の公表時点での「現状の実態」から大きな変化は認められないことから、一律に御指摘のように「定める」ことは考えていない。なお、保護者の利用希望も勘案し、各放課後児童健全育成事業所が地域の実情に応じて開所時間を設定することができるよう、放課後児童健全育成事業所が、平日については六時間以上かつ十八時を超えて開所した場合に、また、休日については八時間を超えて開所した場合に、通常の運営費補助に加えて延長時間に応じた加算措置を設け、長時間開所する放課後児童健全育成事業所に対する支援を行っているところである。

質問3

必要な人員確保等を行い安定的に運営できるよう、運営費の補助単価を大幅に引き上げ、国の補助率を上げるべきと考えるが、見解を示されたい。

回答(質問3 について)

 御指摘の「運営費の補助単価」に関しては、放課後児童健全育成事業所が御指摘のように「安定的に運営できるよう」、毎年の人事院勧告等を踏まえ、運営費の補助基準額の引上げを実施しているところである。また、「こども未来戦略」(令和五年十二月二十二日閣議決定)において、「放課後児童クラブの安定的な運営を図る観点から、二千二十四年度から常勤職員配置の改善などを図る。」としたことを踏まえ、令和六年度予算において、常勤の放課後児童支援員を二名以上配置した場合の運営費の補助基準額の引上げを実施したところであり、引き続き必要な対応を検討してまいりたい。また、御指摘の「国の補助率を上げる」ことについては、現行の補助率が、市町村は事業の実施主体として地域の実情に応じて事業を設計し実施する役割を、都道府県は広域自治体として実施主体である市町村に対し必要な助言や援助等を行うとともに広域的な対応が必要な事業等を実施する役割を、国は制度の設計や市町村への財政支援等を実施する役割を、それぞれ担うという考え方に基づき、国と地方の役割分担等を踏まえ設定されたものであることから、慎重な検討が必要であると考えている。

質問4

放課後児童支援員等の処遇の改善策について、さらなる拡充が必要と考えるが、見解を示されたい。

回答(質問4 について)

 政府としては、放課後児童支援員等の処遇改善を図るため、「放課後児童健全育成事業実施要綱」(令和五年四月十二日付けこ成環第五号こども家庭庁成育局長通知別紙)別添六に基づく放課後児童支援員等処遇改善等事業、同要綱別添十二に基づく放課後児童支援員キャリアアップ処遇改善事業及び同要綱別添十三に基づく放課後児童支援員等処遇改善事業を通じてこれまで累次にわたり処遇改善に取り組んできているところである。また、これらの取組に加えて、三についてでお答えしたとおり、令和六年度から常勤の放課後児童支援員を二名以上配置した場合の運営費の補助基準額の引上げを開始したところであり、まずはこれに基づく処遇改善を着実に実施することが重要だと考えているが、引き続き、処遇改善について必要な対応を検討してまいりたい。