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高等教育の無償化に関する再質問主意書

会派 日本共産党
議案提出者 宮本徹
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

東京大学が授業料値上げを検討していることに対して、授業料値上げ反対の東京大学内での集会に五百人が集まるなど、批判の声が広がっている。

東京大学総長は六月十日にコメントを発表し、授業料の値上げを検討している背景として、「国からの運営費交付金や授業料収入など、限られた財源を活用して、教育研究環境の充実に加え、設備老朽化、物価上昇や光熱費等の諸費用の高騰、人件費の増大などに対応せねばなりません」と述べている。

一方、国立大学協会は六月七日に声明を発表し、「国家予算が厳しさを増すにつれ、国立大学の活動を支える基盤経費(運営費交付金)は減額されたままです。加えて、社会保険などの経費の上昇、近年の物価高騰、円安などにより基盤経費を圧迫し、実質的に予算が目減りし続けています。また、働き方改革の実現のため、大学教職員、学校教員や医師を確保する必要も出てきました。その中にあっても質の高い教育研究活動を維持・向上していくために、寄付金などの外部資金や自ら収入を増やす努力も進めています。そうして、我が国の課題、また地球規模の課題の解決に、教育と研究を通じて全力で取り組んできました。しかし、もう限界です。」と述べている。

私は、五月二十二日に「高等教育の無償化に関する質問主意書」を提出した。しかし、岸田政権の決定した答弁書では、大学や学生、国民の置かれている状況をどう打開するのか、全く見えない。

そこで、以下、質問する。

質問1

「国立大学を取り巻く財務状況の悪化」は、国立大学協会が声明において「もう限界です」と述べるような状況にあることを、政府は認識しているか。

回答(質問1 について)

 御指摘の「国立大学協会が声明において「もう限界です」と述べるような状況」の具体的に意味するところが明らかではなく、また、国立大学の財務状況は様々であることから、お尋ねについて一概にお答えすることは困難であるが、一般論として、御指摘の声明において述べられた物価高騰等は、国立大学の財務状況に影響を及ぼし得ると認識している。

質問2

国立大学法人運営費交付金は、二〇〇四年の一兆二千四百十五億円から二〇二四年の一兆七百八十四億円へと千六百三十一億円、十三%減になっている。国立大学協会によると、この減額は、「中堅・地方大学二十大学分」に相当する。

政府は「国立大学の危機的な財務状況を改善」するために、来年度予算、又は補正予算編成において、国立大学法人運営費交付金を、物価上昇、人件費の増大、設備老朽化、教育研究環境の充実に対応できるよう、抜本的に増額すべきではないか。

回答(質問2 について)

 文部科学省としては、国立大学法人運営費交付金について、来年度予算等において、必要な予算の確保に努めてまいりたい。

質問3

私の「高等教育の無償化に関する質問主意書」に対して、岸田内閣は「国立大学については、全国的な高等教育の機会均等の確保について重要な役割を担っているものと認識している」と答弁している。この認識は、国立大学が全国四十七都道府県に設置されているということに加えて、国立大学の授業料が私立大学の授業料に比べて、相対的に低くなっていることにもとづく認識か。

国立大学の授業料が私立大学の授業料に比べて、相対的に低くなっていること、また、ほとんどの国立大学が国立大学法人化以降の二十年間、授業料を据え置いてきたことが、「教育を受ける権利」を保障する上で、どのような役割を果たしてきたと、政府は認識しているか。

回答(質問3 について)

 前段のお尋ねについては、御指摘の「国立大学については、全国的な高等教育の機会均等の確保について重要な役割を担っているものと認識している」との答弁は、地理的な観点や経済的な観点等を踏まえた国立大学の役割についての認識をお答えしたものである。

 後段のお尋ねについては、御指摘の「「教育を受ける権利」を保障する」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、一般論として、学生の経済的負担を軽減することは、高等教育の機会均等の確保に資するものであると考えている。

質問4

東京大学の授業料が値上げになった場合、「特に地方出身者や女子学生が進学しづらくなり、多様性が失われる」との指摘がある。東京大学の学生の中での女子学生の比率を高めること、また、地方出身者の進学の機会を保障することについて、政府はどのような意義があると考えるか。また、東京大学の授業料値上げが、女子学生や地方出身者に与える影響について、政府はどう考えているか。

回答(質問4 について)

 前段のお尋ねについては、御指摘の「地方出身者の進学の機会を保障すること」の意味するところが必ずしも明らかではないが、東京大学に限らず、各国立大学において女性や様々な地域の出身者を受け入れることは、大学における学生の多様性の確保に資するものと考えている。

 後段のお尋ねについては、仮定の質問であり、また、その趣旨が明らかではないため、お答えすることは困難である。