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人工妊娠中絶の費用への公費支援に関する質問主意書

会派 日本共産党
議案提出者 宮本徹
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

二〇二四年五月十七日の衆議院厚生労働委員会において、人工妊娠中絶の費用の公費支援を求めたところ、工藤彰三内閣府副大臣からは「個人の倫理観や家庭観等、様々な課題もあることから、まず国民的な合意形成が必要な課題だと認識しており、現時点では、一律の公費支援を行うことや、費用の傾向を把握することは考えていない」旨の答弁があった。

これを踏まえ、以下、質問する。

質問1

工藤彰三内閣府副大臣の答弁では、「国民的な合意形成が必要な課題だと認識しており」とするが、これは政府のいかなる調査にもとづいた認識なのか、その根拠を具体的に示されたい。

また、今後、政府はどのようにして「国民的な合意形成」を確認していくのか、明らかにされたい。

回答(質問1 について)

 前段のお尋ねについて、御指摘の「答弁」については、例えば、令和五年二月一日から同月二十八日まで実施した、経口中絶薬「メフィーゴパック」の医薬品製造販売承認等に関するパブリックコメントに寄せられた意見等、国民の間に様々な意見があることを踏まえ、政府の見解を述べたものであり、御指摘のような「調査にもとづいた認識」ではない。

 また、後段のお尋ねについて、御指摘の「国民的な合意形成」がなされているか否かについては、引き続き、こども家庭庁ホームページでの「ご意見・ご要望」の受付等の様々な機会を通じて国民の様々な意見を聴いていく中で、確認ができるものと考えている。

質問2

工藤彰三内閣府副大臣の答弁では、「個人の倫理観や家庭観等、様々な課題もある」としているが、ここでの「個人の倫理観」および「家庭観」とは、具体的にどのような「倫理観」「家庭観」を意味するのか、説明されたい。

回答(質問2 について)

 お尋ねの「「倫理観」「家庭観」」については、多岐にわたるため、網羅的にお答えすることは困難であるが、これに関しては、例えば、令和四年三月十六日の衆議院外務委員会において、島村内閣府大臣政務官(当時)が「胎児の生命の尊重や女性の自己決定権等に関する様々な御意見が国民の間で存在し、また、個々、人々の倫理観、道徳観とも深く関係する難しい問題点でございます」と答弁しているほか、一についてで述べたパブリックコメントにおいて、当時、経口中絶薬の製造販売を「承認すべきとの意見」として、「女性の性と生殖の健康と権利(セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス&ライツ)を尊重するべき」といった意見があった一方で、「承認すべきでないとの意見」として、「胎児の命を奪うものであり、生命が尊重されない社会になる恐れがある」といった意見もあったところである。

質問3

岸田首相も参加したG7広島サミットで発表された首脳コミュニケは、「我々は、安全で合法な中絶と中絶後のケアへのアクセスへの対応によるものを含む、全ての人の包括的なSRHRを達成することへの完全なコミットメントを再確認する」と明記されている。伺うが、政府がこの首脳コミュニケを合意し、発表する上では、工藤彰三内閣府副大臣が述べた「個人の倫理観や家庭観等、様々な課題」はなかったということか。

回答(質問3 について)

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、例えば、二についてで挙げた意見等に係る課題については、令和五年五月二十日のG7広島首脳コミュニケが発出される際に、御指摘のように「なかった」というわけではないと認識している。

質問4

三で引用したG7広島サミットでの首脳コミュニケの同記述内容と、工藤彰三内閣府副大臣が「個人の倫理観や家庭観等、様々な課題もあることから、まず国民的な合意形成が必要な課題だと認識しており、現時点では、一律の公費支援を行うことや、費用の傾向を把握することは考えていない」と述べた答弁は、整合していないのではないか。仮に整合しているならば、その根拠を説明されたい。

回答(質問4 について)

 お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、政府としては、必ずしも御指摘の「答弁」のように「公費支援」を行わないことが、G7広島首脳コミュニケにおいて「完全なコミットメントを再確認する」とされている「安全で合法な中絶と中絶後のケアへのアクセスへの対応によるものを含む、全ての人の包括的なSRHRを達成すること」にならないこととなるとは考えておらず、したがって、御指摘の「答弁」が同コミュニケの内容と「整合していない」との御指摘は当たらないと考えている。