保育における公定価格の地域区分に関する質問主意書
保育士の全国有効求人倍率は、令和六年一月時点で、三・五四倍であり、保育士の人材確保は喫緊の課題であり、関係各所が尽力している。
しかし、保育における公定価格の地域区分が、運営費収入や保育給与に差を生じさせており、保育士の人材確保に大きな影響を及ぼしている。特に、東京都特別区と隣接する自治体との公定価格の差は大きく、その差が保育士の給与に反映されている。そのため、給与面で優遇される東京都特別区に保育士人材が流入しやすい状況となっている。一方で、東京都特別区に隣接する自治体においては、保育士人材の確保に苦慮する事態に至っている。同一の生活圏内であり同一の職業であるにもかかわらず給与に大きな差が生じていることは、公平性を欠く不合理な差と言わざるを得ない。
以上を踏まえ、次の点について質問する。
質問1
保育に係る公定価格の地域区分を設定するにあたっては、隣接する市区町村間で公定価格に大きな差が生じないよう、公務員の地域手当区分に準拠するだけでなく、公示価格など他の客観的な指標も考慮するなど、地域の実情を十分に反映すべきと考えるが、政府の見解を問う。
回答(質問1 について)
お尋ねについて、御指摘の「公務員の地域手当区分」は、その設定に当たり、民間の賃金水準との均衡を図るため、厚生労働省の「賃金構造基本統計調査」を用いて算出した当該地域における「賃金指数」を考慮しているところ、民間保育所等の職員の人件費等が積み上げられた御指摘の「保育に係る公定価格」の「地域区分」については、公立保育所等との均衡も図りつつ、地域の実情が反映された給与水準となるよう、「公務員の地域手当区分」と同様に当該「賃金指数」を考慮することとし、当該区分に準拠して設定することが適当であると考えており、また、介護保険制度等他の社会保障制度も同様の仕組みとなっていることも踏まえると、独自に御指摘のような「指標」を考慮することは、慎重に検討する必要があると考えている。
質問2
介護及び障害福祉サービス報酬については、人材流出のリスクや公平性を欠くなどの総合的な検討がなされ、令和六年度から地域区分の特例として、「五級地以上の級地差がある地域と隣接している場合について、四級地差になるまでの範囲で引上げ又は引下げを認める」ことが追加された。
こどもまんなか社会の実現に向け、しっかりと必要な財源確保を図った上で、保育における公定価格の地域区分についても、五段階以上の区分差がある地域では、同様の特例の導入を早期に実現すべきと考えるが、政府の見解を問う。
回答(質問2 について)
御指摘の「介護及び障害福祉サービス報酬」と「同様の特例の導入」については、必要な財源の確保と併せて、こども家庭審議会の意見も聴きながら、検討することとしている。