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悪質な経済事犯や連鎖販売取引への対策に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 井坂信彦
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

令和六年四月に警察庁から発表された「令和五年における生活経済事犯の検挙状況等について」によると、特定商取引等事犯の検挙状況は、令和四年の約百二億三千六百万円から、令和五年には約千百十四億六千二百万円へと十倍以上に激増した。この原因は主に、販売預託商法を展開する訪問販売事業者「VISION」の役員ら二人が令和五年一月に特定商取引法違反容疑で逮捕されたことで、前身企業による契約を含めて千億円超の被害が発覚したことによる。同社は業務禁止命令を受けていた間に、ゲームのアプリなどが入ったUSBメモリーを販売し、第三者にレンタルすることで利益を得られると勧誘した疑いで検挙され、役員ら二人は執行猶予付きの有罪判決を受けた。

特定商取引法上の罰則は、役員等の業務禁止違反においても、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金となっており、千億円を超える被害であっても、執行猶予の判決となってしまうのが現状である。損害賠償も期待できず、被害者は泣き寝入りとなってしまう。経済事犯の被害者数と被害額が一向に減らないのは、罰則や賠償責任が不十分であることも一因と指摘されている。

特に近年、学生や主婦をターゲットとした連鎖販売取引(マルチ商法)が後を絶たず、悪徳業者の被害にあっていることに気づいていない、更には加害者になっていることに気づいていないといったケースも増えている。こうした経済事犯が減少しない状況を改善するために、以下、政府の見解を伺う。

質問1

中国やシンガポールでは、悪徳マルチ商法に対して数千万円の制裁金や懲役を科すことになっている。我が国では千億円の被害を生み出した事業者の役員が執行猶予の判決になるという現状を政府は把握しているか。また、厳罰化を検討すべきと考えるが政府の見解を伺う。

回答(質問1 について)

 前段のお尋ねについては、お尋ねの「我が国では千億円の被害を生み出した事業者の役員が執行猶予の判決になるという現状」の意味するところが必ずしも明らかではないが、御指摘の「「VISION」の役員ら二人」が特定商取引に関する法律(昭和五十一年法律第五十七号。以下「特定商取引法」という。)第八条の二第一項の規定による命令に違反した事案についての判決については承知している。

 後段のお尋ねについては、御指摘の「悪徳マルチ商法」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

質問2

米国では連邦取引委員会(FTC)が規制を行い、多数の法律家を擁して積極的に差止命令、被害回復命令、高額な制裁金などを実施している。その結果、和解金で解決することが多く、違法収益の吐き出しに繋がっている。最近では事業者が支払う和解金が二億ドルを超える事例も出ているという。損害賠償について、違法収益の没収や、被害に見合った和解金の支払いなど、被害者救済措置を手厚くするべきと考えるが、政府の見解を伺う。

回答(質問2 について)

 お尋ねの「損害賠償について、違法収益の没収や、被害に見合った和解金の支払いなど、被害者救済措置を手厚くする」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

質問3

マルチ商法に対して、韓国やタイ、米国の一部の州では登録制や届出制を実施している。事業を実施する参入規制を厳しくし、情報の開示を行うことで、悪徳業者の参入障壁を作ることができると考えるが、我が国で登録制などの導入は検討されているか。

回答(質問3 について)

 お尋ねについては、令和五年三月三十日の衆議院消費者問題に関する特別委員会において、河野国務大臣が「連鎖販売取引の登録制度でございますが、一つは、登録ということになりますと、これは審査しなければなりませんので、かなりの行政コストがかかります。行政コストとその効果が見合うのかどうかというところは若干疑問でございます。また、登録を認めると、登録に伴って、国が特定の連鎖販売業者に事実上のお墨つきを与えることになるのではないか。つまり、国の登録を受けたマルチですみたいなことになるのが、ある面、分かり切っているといえば分かり切っておりますので、この連鎖販売登録に関して、余りいい案ではないのではないのかなというふうに思っております。規制は不断の見直しを行うべきでありますから、消費者庁としては、引き続き、被害者の状況などを注視しながら、適切に対応すべきところはやってまいりたいというふうに思っているところでございます。」と答弁したとおりである。

質問4

近年のマルチ商法は、ファンド型投資商品や副業などの儲け話を勧誘・拡大する手法が増えている。これらは「モノなしマルチ」と呼ばれている。アメリカやEUでは、小売りを主とするものは認められているが、「モノなしマルチ」のような主として人を勧誘することによって利益を得るシステムは違法とされている。「モノなしマルチ」は無限連鎖講に準ずるものとして取り締まる必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

回答(質問4 について)

 お尋ねの「無限連鎖講に準ずるものとして取り締まる」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

質問5

金融庁では、金融商品等の取扱いをする業者は免許・許可・登録等が行われている。「モノなしマルチ」は、投資商品や情報商材を介し、投資という観点で事業を実施していることから、金融庁の免許や許可の対象とならないか、政府の見解を伺う。

回答(質問5 について)

 お尋ねの「金融庁の免許や許可」の具体的に意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。

質問6

日本弁護士連合会の「連鎖販売取引における若年者等の被害防止に関する規制強化を求める意見書」など、有識者からの意見では、若年者に対する保護が求められている。若年者による連鎖販売取引の禁止や、取消権の強化などが提言されているが、政府の見解を伺う。

回答(質問6 について)

 お尋ねの「提言」については、年齢のみを理由として規制等を行うものであり、その合理性及び必要性の有無、国民生活や経済活動への影響等、様々な観点からの慎重な検討が必要であると考えている。政府としては、特定商取引法に違反する事実が認められた場合には適正に行政処分を行うほか、「若年者」を含む消費者に対し注意喚起等を行っているところであり、引き続き、必要な取組を適切に行ってまいりたい。

質問7

マルチ商法であることに気づかずに加入したり、勧誘されたりすることが多いことも課題である。取引条件等に関して、共通の用語や項目を設けて、説明と表示を更に厳格化する必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

回答(質問7 について)

 お尋ねの「取引条件等に関して、共通の用語や項目を設けて、説明と表示を更に厳格化する」の意味するところが明らかではないため、お答えすることは困難である。