自動車メーカーの認証試験不正に関する質問主意書
令和六年六月、自動車メーカーの型式認証試験の不正が発覚した。
質問1
この不正が原因の一つとなって、事故等が起こったケース、又は事故による被害が拡大したケースはあったのか否か、また、それを内閣として調査する予定はあるか。予定があれば結果はいつごろを目途に出るのか。
回答(質問1 について)
お尋ねについては、国土交通省としては、御指摘の「型式認証試験の不正」に係る自動車メーカーから、お尋ねの「事故等が起こったケース、又は事故による被害が拡大したケース」があったとの報告は受けておらず、同省としては、お尋ねの「調査」をする予定はない。なお、引き続き、御指摘の「不正」に係る 事実関係の確認等を行い、その結果を踏まえて、道路運送車両法(昭和二十六年法律第百八十五号。以下「法」という。)に基づき厳正に対処してまいりたい。
質問2
内閣は繰り返される不正の原因や背景にどのようなものがあると認識しているのか。
回答(質問2 について)
お尋ねについては、現在、国土交通省において、法第七十五条の六第一項及び第百条第二項の規定による立入検査を実施しているところであり、また、お尋ねの「繰り返される不正の原因や背景」については、当該立入検査の結果等を踏まえて検討する必要があることから、現時点でお答えすることは困難である。
質問3
令和六年六月三日、不正発覚を受けて、トヨタ自動車会長が記者会見を行った。その中で、会長から以下の発言があった。
「認証というのはあくまでも量産していいかというルールで普通で考えますと量産するためにはスペックのいろんな仕様数を全部ですね、試作車を全部作って全部を試験する、ということになると思います。でもそれは現実ですね、それはやるべきなのかもしれませんが現実不可能だと思います。それで当局と一緒になってですね、一緒になってどの代表選手にどういう試験をすればいいですよね、というネゴシエーションをしながら決めていくわけですが、その段階において、これは厳しいのでやったんだからよかったよね、というのがちょっと現場で判断されてしまった。ですけど、使っておられる方にはどうですかというとそれは安全です。安心安全は担保されております。」
この中で特に、当局と一緒になってどういう試験をすればいいのかというネゴシエーションをしながら決める、との趣旨の発言について、お尋ねする。
1 当局はどのようなネゴシエーションをしていたのか、具体的に詳細をお示し願いたい。
2 当局と一緒になったネゴシエーションの中で、どういう試験をすればいいのかを決めたとのことだが、どんな試験が決まったのか、具体的に詳細をお示し願いたい。
3 それは不正の試験との疑いを持たれる懸念があるような試験だったのか、また、不正との疑いを持たれるような試験を示唆するものであったのか。内閣の見解を問う。
回答(質問3 について)
御指摘の「型式認証試験」の項目やその内容については、独立行政法人自動車技術総合機構(以下「機構」という。)において、車両並びに車両への取付け又は車両における使用が可能な装置及び部品に係る調和された技術上の国際連合の諸規則の採択並びにこれらの国際連合の諸規則に基づいて行われる認定の相互承認のための条件に関する協定(平成十年条約第十二号)、法第四十六条に規定する保安基準、独立行政法人自動車技術総合機構法(平成十一年法律第二百十八号)第十三条第一項の規定に基づき機構が定める審査事務の実施に関する規程等に基づき、決定するものである。
御指摘の「ネゴシエーション」、「現場で判断されてしまった」及び「不正との疑いを持たれるような 試験を示唆するもの」の具体的に意味するところが必ずしも明らかではないが、機構は、当該試験の内容を決定するに当たり、法第七十五条第一項の規定による指定を受けようとする法第二条第二項に規定する自動車、法第七十五条の二第一項の規定による指定を受けようとする同項に規定する特定共通構造部又は法第七十五条の三第一項の規定による指定を受けようとする同項に規定する特定装置の仕様等について、自動車メーカー等から口頭で補足説明を受けることはあるが、いずれにせよ、前述のとおり、当該試験の内容は機構において決定するものであり、機構は、御指摘の「どういう試験をすればいいのか」について、自動車メーカー等と「一緒になって」決定することはないものと承知している。また、機構が、御指摘の「不正の試験との疑いを持たれる懸念があるような試験」を行ったという事実はないものと承知している。これらのことは、御指摘の「トヨタ自動車」において「不正が発覚」した「型式認証試験」についても同様であるものと承知している。