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ブラジルの洪水被害に対する支援に関する質問主意書

会派 立憲民主党
議案提出者 井坂信彦
公式リンク 第213回国会 / 質問 答弁

令和六年四月末に発生したブラジル南部リオグランデドスル州の豪雨による洪水では、二百万人以上が被災し、六十万人が避難生活を送っていると伝えられている。現地防災当局の発表では、五月二十九日時点で百六十九人の死亡が確認され、四十四人の行方が分かっていない。水害としてはブラジル史上最悪の事態となっている。

令和四年の我が国の農産物全体の輸入額の中で、ブラジルからの輸入額は全体の六位となっている。特に、我が国に輸入される鶏肉の約七割はブラジルに依存しており、洪水被害にあっている南部地域は鶏肉の主たる生産地域である。資源・食糧問題研究所によると、南部は鶏だけでなく鶏の飼料も生産しているため影響が懸念されるという。

また、オレンジジュースについては、北米で大雨・ハリケーン・竜巻などが多発したことによりブラジルからアメリカへの輸出が増え、その分、日本への供給が不足する事態が発生している。オレンジジュースや、飼料となるトウモロコシの他にも、大豆、コーヒーなど、ブラジルからの輸入に依存している農産品は多く、今後の供給不足や値上げなどに注視する必要があると考える。

農林水産省によると、輸入を担う民間商社からの情報では、ブラジル国内の他の地域での生産品などにより、現状では影響は少ないとのことである。しかし、ブラジルのルラ大統領は「米や豆の輸入も検討する必要がある」と述べており、ブラジル国内での食糧不足が続けば我が国に対する輸出にも影響を及ぼすおそれがある。

この洪水被害に対し日本政府は、緊急援助物資として浄水器七十五個をJICA(国際協力機構)を通じて支援した。ブラジルは世界最大の日系人居住地であり、一九〇八年に神戸から最初のブラジル移民が渡航して以来、現在は約二百万人の日系人が住んでいる。食糧や歴史的な関係性からも、我が国によるブラジル支援が必要ではないかと考え、以下、政府の見解を伺う。

質問1

ブラジル産食糧の我が国への輸入について、農林水産省は現状での影響は少ないと考えているようだが、洪水被害が長引いていることを踏まえ、中長期的な影響についてどう考えているか、政府の見解を伺う。

回答(質問1 について)

 お尋ねについては、いまだ御指摘の「令和六年四月末に発生したブラジル南部リオグランデドスル州の豪雨による洪水」(以下「本件洪水」という。)による農業等への被害の全容が明らかになっていないことから、一概にお答えすることは困難であるが、引き続きその影響を注視してまいりたい。

質問2

我が国は、ブラジルに対し緊急援助物資として浄水器の支援を行ったことが報道されている。これ以外に、何か支援を行っているか。

回答(質問2 について)

 本件洪水の被害に際し、御指摘の「浄水器」の供与のほかに、現時点において、支援は行っていない。

質問3

水害によって衛生状態の悪化が懸念される。当該地域は鶏肉の生産地であり、一刻も早い衛生環境の復旧が望まれる。我が国の食料安全保障を考えた際、ブラジルの復興支援を行う必要があると考えるが、政府の見解を伺う。

回答(質問3 について)

 本件洪水の発生を受けた、今後の復興に向けた支援については、御指摘の「我が国の食料安全保障」の観点も踏まえつつ、現地の情勢及びニーズに応じ、関係国及び国際機関とも緊密に連携しながら検討してまいりたい。

質問4

北米及び南米の異常気象によって食糧の欠品や供給不足による値上げが始まっている。こうしたリスクを回避する観点から、仕入先国の分散についてどのように考えているか、政府の見解を伺う。

回答(質問4 について)

 政府としては、国内生産では需要を満たすことができない食料については、その供給の安定を確保する観点から、輸入の相手国の多様化を図ることが重要であると認識している。このため、食料・農業・農村基本法の一部を改正する法律(令和六年法律第四十四号)による改正後の食料・農業・農村基本法(平成十一年法律第百六号)第二十一条第一項において、「国は、国内生産では需要を満たすことができない農産物の安定的な輸入を確保するため、国と民間との連携による輸入の相手国の多様化・・・その他必要な施策を講ずるものとする」ことが新たに規定されたところであり、今後、同項の規定に基づく施策を推進していく考えである。

質問5

海外で災害が発生した際の農水畜産品の被害状況について、農林水産省は民間商社から情報を収集していると聞いている。民間からの市場状況はもちろん重要な情報だと考えるが、一方で被災国の政府や自治体からの情報も必要と考える。農水畜産品の被害状況の情報収集方法について、広範なルートを確立し、必要な対応ができるよう体制を整える必要があるのではないか、政府の見解を伺う。

回答(質問5 について)

 政府としては、御指摘の「海外で災害が発生した際の農水畜産品の被害状況」については、世界における大豆等の穀物の需給動向等を把握する過程で民間事業者から情報収集を行っているほか、在外公館等を通じた情報収集を行っているところであり、引き続き、必要に応じてこのような情報収集に努めてまいりたい。