マイナンバーカードを取得しない国民が不利益に取り扱われることに関する質問主意書
昨年六月の質問主意書において、「NTTドコモの携帯電話利用者が名義変更しようとした際に、本人確認書類として、マイナンバーカードか、運転免許証等を求められ、いずれも保持していないために名義変更できなくなったとの相談が寄せられている」と指摘し、「マイナンバーカードの利用拡大を推進する中で、マイナンバーカードを取得しない国民にこれまでより不便な生活をもたらすことがあってはならないとの認識はあるか」と質問した。これに対し、岸田内閣から「行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第十七条第一項において、カードは申請に基づいて交付されるものと規定されており、御指摘の「マイナンバーカードを取得しない国民」が合理的な理由なく不利益に取り扱われることはあってはならないと考えている」との答弁があった。
しかし、依然として、「携帯電話が故障したので買い替えようとすると、マイナンバーカードか、運転免許証がないと売れませんと言われ、困った」等の相談が寄せられている。これを踏まえ、以下、質問する。
質問1
「「マイナンバーカードを取得しない国民」が合理的な理由なく不利益に取り扱われることはあってはならないと考えている」との岸田内閣の考えを携帯電話事業者等へ周知・徹底する取組について、具体的に説明されたい。
回答(質問1 について)
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、個人番号カードは、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第十六条の二第一項の申請に基づいて作成され、同法第十七条第一項に基づいて交付されるものとされており、その旨をデジタル庁のウェブサイト等において、携帯電話事業者を含む民間事業者等に周知している。
質問2
そもそも政府は、携帯電話(スマートフォン)が国民にとって、コミュニケーションや情報へのアクセスのためになくてはならない生活必需品となっているという認識はあるか。
回答(質問2 について)
スマートフォンを含む携帯電話は、日本における令和五年十二月末時点の契約数が約二億千八百七十三万件であり、国民が利用する重要な通信手段であると認識している。
質問3
携帯電話が特殊詐欺等の犯罪に利用されている現状では、契約等の場面においてしっかり本人確認を行うことは極めて重要だと考える。しかし、マイナンバーカードや運転免許証など、顔写真付きの本人確認書類を持たない人が、そのことを理由に携帯電話を購入・契約することができないことがあってはならないのではないか。政府の基本的認識を伺う。
また、マイナンバーカードや運転免許証など顔写真付きの本人確認書類を持たない人が不利益に取り扱われることがないように、政府は、本人確認を行う別の方法を設けることを携帯電話事業者や同販売事業者へ要請するべきではないか。また、携帯電話事業者や同販売事業者における契約及び販売等の現場で働く方々へも、マイナンバーカードや運転免許証など顔写真付きの本人確認書類を持たない人が不利益に取り扱われることがないよう、周知徹底すべきではないか。政府の見解を伺う。
回答(質問3 について)
お尋ねの趣旨が必ずしも明らかではないが、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律(平成十七年法律第三十一号)第三条第一項に基づく本人確認は、携帯音声通信事業者において、携帯音声通信事業者による契約者等の本人確認等及び携帯音声通信役務の不正な利用の防止に関する法律施行規則(平成十七年総務省令第百六十七号)第三条第一項各号に規定する方法及び同令第五条第一項各号に規定する本人確認書類についてそれぞれ選択して行われるものであり、御指摘の「顔写真付きの本人確認書類」のみを用いることも認められるものであると考えており、御指摘のように「要請するべき」及び「周知徹底すべき」とは考えていない。